茶飲み話[76]
国民感情を逆なでするような会見であった。加計学院の加計孝太郎理事長が6月19日、記者会見を開き、愛媛県新文書に書かれていた、面談時に安倍首相が「獣医大学いいね」と述べたとする件について、学園の渡邊事務局長が愛媛県や今治市に「虚偽の説明」を行ったことについて、あらためて正式に認めた。その上で、渡邉事務局長については月額給与の10%を6カ月間減給、自身も月額10%を1年間返納すると公表した▼渡邉事務局長が「安倍首相と加計理事長が面談したという嘘を言った」ことについて、加計理事長は「担当者から、事を前に進めるために言ったと報告を受けている」の一点張り。安倍首相との面談の事実を裏付ける愛媛県新文書の内容についても、「とにかく記憶にないし記録にない」との主張を繰り返すばかり▼さらに、安倍首相とは獣医学部新設の話をしたことはないかとの記者の質問に、「政治の話はいろいろ聞いたことがあるが、こちらの話なんかあまり興味ないと思う」と答えている。まさに獣医学部新設の実現が「虚偽の説明」からスタートしたことを認めつつ、事を前に進めるには「嘘を言うのは仕方がない」と言わんばかりの態度であった▼その上、責任の取り方が給与の返納で、森友公文書改ざん問題についての麻生財務大臣のやり方とソックリで、会見はたったの25分で打ち切り。察するに加計理事長が今頃になって会見を開いたのは、「腹心の友」や自身への追及を避けるため、大阪北部地震が起きた翌日というタイミング、そして通常国会の会期末、加えてサッカーW杯の日本代表の初戦の日で、大きなニュースや特集番組にならないことを狙ってのことだったのだろう▼政府・与党は、加計問題についてはこれで幕引きにしたいとしているが、自民党や公明党の国会議員や支持者のみなさんは、本当にこれで一件落着だと思っているのだろうか。とりわけ「誠実・清潔・正義の党」を売り物にしている公明党や、支持団体の創価学会のみなさんはどうなのか。「加計屋も安倍屋も互いに悪よの~」で済まされる話ではない。世の中の不正・理不尽に目をつむり、政治の私物化を許すような政党や政治家にこの国を任せてはおけない。(良穂)[2018/6/20]