茶飲み話[136]平和は当たり前ではない

 世界中が新型コロナウイルス感染症の対応に苦慮しているこの時、2022年2月24日、ロシア軍がウクライナに軍事侵攻を開始したニュースを耳にしました。連日報道されるウクライナの悲惨な状況に胸を痛め一日も早くこの戦争が終わることを願うばかりです。
 全国退女教では、2月28日にロシア軍のウクライナ侵攻に抗議し軍事行動の即時停止を求める声明を発表し、在日ロシア大使館に送付しました。また、各都府県にも要請をしました。多くの都府県でとりくみができました。
 私たちの先輩が常に話してくれたことは、「戦争は人間を人間でなくしてしまう。そしていつでも女性、子どもが犠牲になる。だから絶対に戦争はしてはいけない。」ということでした。今まさにその通りのことを目の当たりにしています。
退女教は各都府県で戦争体験を語り継ぐ運動をしています。平和の大切さ、戦争の悲惨さを子どもたちや地域の人たちに語り継ぐ運動をしています。学校や公民館などに出向き紙芝居や、寸劇で平和の大切さを伝えています。子どもたちから「どうして戦争を止められなかったの」と、とてもつらい質問をされました。「止められなかったの。ごめんなさい。」というしかできませんでした。そして今、まさに子どもたちと同じ気持ちになりました。
 私たちの先輩は、戦前・戦中は国策に沿って、軍国主義教育で頑張ってこられました。大切な教え子を戦場に送りました。1945年の敗戦に遭遇されて、嘆き悲しみながらも、新しい日本国憲法の下で、心機一転して、平和・人権・平等などを基底にした日教組運動に結集し、平和と民主教育の推進に邁進してこられました。1951年1月、千葉千代世(ちばちよせ)日教組婦人部長は「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンを中央委員会で提案しました。そして、今日まで日教組はもとより、退女教もこのスローガンを掲げ平和運動を推進しています。不滅のスローガンとなっています。
 しかし、戦争体験者が少なくなってきています。私たちは様々な工夫をして語り継ぐ運動を継続していかなければならないと強く思いました。子どもたちに「戦争をとめたよ」と言えるような日が来ることを願って運動をしていきます。
 平和は当たり前ではない。私たち一人一人が平和を求めて努力していかなければならないと思います。

退職者連合幹事 内山 礼子(全国退職女性教職員の会)