茶飲み話[10]
原爆体験を描いた漫画「はだしのゲン」の作者中沢敬治さんは、小学1年のとき広島で被爆した▼小学校のコンクリート塀のそばで奇跡的に助かったが、お姉さんは倒壊した自宅で即死、お父さんと弟さんも倒壊した自宅の下敷きになり、お父さんは「この柱をどかしてくれ」と助けを求め、弟さんは「熱いよ、助けて!」と叫びながら周囲から迫った炎の中で二人とも焼死したと云う▼なんと悲惨なことか▼その惨さが目に浮かび怒りがこみ上げてくる▼これは郵政退協(現・JP労組退職者の会)の広島平和集会で語った中沢さんの原爆体験である▼中沢さんは73歳で亡くなられたが、その後3ヶ月ほどして書店から「はだしのゲン」全10巻が届いた▼これを見た小学生の孫に「それ学校で見ているよ」と云われ何となくほっとした▼松江市教委が小中学校に「はだしのゲン」を生徒に貸さないよう要請し問題になっていた時期である▼松江市教委はその後これを撤回したが、子供たちにはこの漫画を読み継ぎ戦争の悲惨さを知ってほしい。(阿部)[2014/11/04]