茶飲み話[38]
またぞろ超党派のカジノ議連が、この臨時国会でカジノ賭博合法化法案を成立させようと躍起になっている。カジノ合法化を含む「統合型リゾート(IR)推進法案」は、2013年に初提出され、わずか一日審議されたものの、以後1年半にわたって、店晒し状態が続いている。この間、世論調査ではカジノ合法化に反対する人々の数が賛成を圧倒しており、また、新聞各紙も合法化に「反対」、あるいは「慎重に」との社説を掲げるにいたっている▼厚労省研究班の推計によれば、現在でもパチンコなどを含めたギャンブル中毒の疑いのある人は全国で536万人、成人男性の8・7%を占めているという。カジノ合法化となればその数はさらに増え、多重債務による家庭崩壊や資金欲しさに犯罪に走るケースなども懸念され、また、反社会的勢力による闇支配や青少年の健全育成に悪影響を及ぼし、退職者・高齢者がなけなしの預貯金や年金を巻き上げられ、悲しい結果を招くようなことにもなりかねない▼自民党は11月9日から衆議院内閣委員会で審議入りする方針を固めていたが、TPP法案を巡る混乱の影響を受け、9日の審議入りは見送られた。自民党の二階幹事長は8日の記者会見で「自民党内にも、野党の間にも、法案に対する理解が十分に行き届いていると判断するには、少し時期尚早ではないか」と言いつつ、「いずれにしても、もうそろそろ結論を出す段階だろうと思っているが、慎重にやっていきたい」と述べている▼これに対し日本維新の会の馬場幹事長は、「わが党だけでなく、自民党も法案提出者になっているのに、この段階で自民党内がまとまらないのはおかしい。法案提出者としても、最大会派としても、法案の成立に向け、責任をもってリーダーシップを発揮してほしい」と注文を付けている▼自民・公明・民進・維新の会などの国会議員220名を超えるカジノ議連の勢力からすれば、成立必至であった本法案が、店晒しにされてきたのは、多くの国民がこれを求めておらず、また、先にふれたような多くの問題が解消されていないからにほかならない。古来、ご法度とされてきた賭博行為、人々の心を蝕むカジノによる経済振興策などあってはならないことである(良穂)[2016/11/11]