茶飲み話[37]

 安倍政権下で閣僚や準閣僚級議員の不祥事や不適切発言が止まらない。9月29日には、TPP(環太平洋経済連携協定)の承認案と関連法案をめぐって、衆議院TPP特別委員会の理事を務める福井照衆議院議員(四国ブロック選出)が、「この国会ではTPPの委員会で西川先生の思いを強行採決という形で実現するよう頑張らせていただきたい」と宣うた▼西川先生とは、安倍内閣で農水大臣を務めたが不透明な政治資金処理をめぐって辞任した西川公也衆議院議員(北関東ブロック選出)のことである。先の通常国会では衆議院TPP特別委員会の委員長を務めていたが、本人が執筆したといわれるTPP交渉の内幕本をめぐって審議が紛糾し、今国会では委員長を交代させられている。福井議員は釈明会見で「この国会でどうしても採決したいという総理の思いを申しあげたにすぎない」と本音?を吐露している▼さらにお粗末なのが9月1日、台風10号による豪雨被害の視察で岩手県岩泉町を訪れた際、水たまりを現地の自治体職員に「おんぶ」されて渡った務台俊介内閣府大臣政務官兼防災政務官(長野県2区選出・衆議院議員)。長靴を持ってくるのを忘れたという。政府高官が豪雨災害の視察に長靴を忘れるというのもありえない話だが、水たまりをおんぶしてもらってわたるというのもこれまた情けない▼聞けば務台先生、東大法学部から自治省(現総務省)に入り、その後内務省消防庁防災課長などを経て議員になったキャリア組とか。「現地で自分のための長靴くらい用意しているはずだ」という権力者意識がそうさせたのだろうか。消防庁防災課長と言えば防災に関するプロ中のプロのはず。結局、現場に疎い「論語読みの論語知らず」を露呈してしまったようだ▼二人の議員に共通しているのは、「他人への思いやりや気遣い」の精神が完璧なまでに欠落していることであり、権力でしか自分の価値を表せない小人間だということであろう。安倍政権が続く中で自民党議員の質の劣化は目を覆うばかりである。(良穂)[2016/10/11]