茶飲み話[80]
レストランで食事をしているときなど、注文の品を持ってきた店員の「こちら○○になります」といった言葉づかいに違和感を覚えるご仁もいるかも知れない。「こちらビールになります」、「エッ!これビールになるの、今は何なの?」などと、意地悪く聞き返したりするご仁もいるという。こうした言葉づかいを「ファミコン言葉」というのだそうである▼もちろんファミリーコンピューターとは何の関係もない。新語時事用語辞典によれば、ファミリーレストランやコンビニエンスストアなど、アルバイト店員が多いサービス業における接客時の特徴的な日本語で、二つあわせて「ファミコン言葉」といわれるようになった。接待用語としてマニュアル化している企業もあるようで、「バイト敬語」ともいう▼例えば「デザートもいかがですか?」を「デザートのほうもいかがですか?」のように「~のほう」という表現や、「こちらはビールです」を「こちらビールになります」のように「は」を抜き、「~になります」という。「1000円お預かりします」を「1000円からお預かりします」のように「~から」や、「○○でよろしかったでしょうか」などがある▼いつの間にか、ファミレスやコンビニだけでなく、あちらこちらで耳にするようになったファミコン言葉。文化庁の「国語に関する世論調査」によれば「気になる」と回答した割合は、1996年は38.4%だったが、2002年には45.2%になり、2013年には55%と半数を超えたという。とりわけ高齢者はお気に召さないようだ▼日本語が時代とともに変化するなかで、敬語の使い方を知らない若者も増えているのだろう。電話口で「どちら様ですか?」を「あなたは何さまですか?」と聞いていた新入社員がいたという笑い話もある。国会でも「私のご質問に対する答弁とお受け止めさせていただきます」などという議員も少なくない。「こちらビールになります」」「おつまみのほうはいかがですか」などと言われても気にする必要ないのでは・・・。以上でよろしかったでしょうか。(良穂)[2018/8/1]