茶飲み話[121]

☆え~っ?いくら増えても困らない借金があるんですか?

  • 近頃はやりの「MMT理論」とやらでは、①自国通貨建ての国債で、②ハイパーインフレさえ起きなければ、政府債務はいくら拡大しても差し支えない、らしい。
  • しかし、いくら借りても構わない借金なんてこの世にあるんでしょうか。収穫より多く食べようとしたら、種籾に手を付ける?来年作付けができませんよ。よそから分捕ってくる?野盗・山賊はだめですよ。隣村などから借りまくる?孫子の代までかかっても返す義務があります。それとも踏み倒す?それは人の道に反する。
    珍しい「理論」を振りまわしても本質は変わらない気がしますけど。
  • 日本の国債残高は既に932兆円、グロスの財政赤字規模はGDPの2.3倍、コロナ補正予算財源作りを加えると2.5倍も目前だそうで、世界で最悪水準の借金。どうやって返すのでしょう?国債が破産したら年金生活者はえらい目にあうと聞いてます。

☆え~っ?いつから日銀は政府の財布になったんですか?

  • 2013年の「アベノミクス」で日銀が国債を買い始めたときは130兆円。その後どんどん買い増して、2020年4月には国債買い入れ上限を撤廃。2020年5月末で日銀の国債保有残高は500兆円を突破し、コロナ名目の国債をさらに買い増しますから近いうちにGDP552兆円に並ぶかも。いまや日銀が最大の国債購入者です。
  • 日銀の使命は金融と物価の安定、日銀法は日銀が政府の財布になることを禁じているはずです。中央銀行たる日銀が政府に言いつけられてお札を増刷して際限なく国債を買うなんて禁じ手でしょう?国債の暴落が起きれば金融と財政双方が瓦解して地獄を見ることになりません?

☆え~っ?集めないで配れるんですか?

  • 社会保障は集めて配る再分配の仕組み。国の2020年度当初予算一般会計歳出の36.34%が社会保障費、大きな比率です。同じ一般会計歳入の45.4%が国債、集めないで配ることが長続きするはずがありません。
  • さりとて今でも不十分な社会保障給付を削れば、高齢者をはじめそれを生活の支えにしている者の生活を根本から脅かしますから、答えは応能負担原則に基づいて税・社会保険料をきちんと集めて必要な給付に充てるしかないと思います。

☆今困っている人を機敏に支援する政府、これからの世を担う子・孫に“何この借金~私に払えって~?”と恨まれない世を作る政府、がほしいです。
ホント。

退職者連合常任幹事 川端邦彦