茶飲み話[103]
読めば読むほど疑問が広がる解説書、国税庁が公開している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」である。消費税10%への引き上げによる低所得者の負担軽減策として、特定商品の税率を現行の8%に据え置く品目の範囲や線引きをQ&A方式で解説している。しかしそれは、昨今のライフスタイルや商品販売の実態などを体感・熟知しない机上の「怪説」で、続々と寄せられる指摘や質問に国税庁はつじつま合わせに四苦八苦しているようだ▼軽減税率の適用対象は、自・公両党が「国民の日常生活に欠かせない品目」として合意した「食料品」と「新聞」の2つ。しかし、食料品でも外食は「日常生活に欠かせない品目」とはみなされず10%。「新聞」は8%据え置きだが、日常生活に欠かせない「水道」は何故か10%。同じコンビニで購入する食品でも外で食べるのは8%で、店が設置した場所で食べる場合は10%となる▼ファーストフード店やコンビニでは、同じ商品を持ち帰ることも、店内で飲食することも可能だ。この場合、消費税率は「購入する人の意思表示で決まる」という。「店内で食べる」と言えば10%、「持ち帰る」と言えば8%。ならば、店内で食べるつもりでも「持ち帰る」と言えば8%でOKということに・・・?▼では、子供たちに人気の玩具付きお菓子や、贈答品に便利な飲食料品とそれ以外を組み合わせた「セット商品」などはどうか。国税庁の「Q&A」によれば「税抜き価格が1万円以下」かつ「価格に占める食品の割合が3分の2以上」であれば軽減税率が適用されるという▼これらはほんの一部だが、とにかくわかりにくい。間もなく消費税増税が実施されれば、スーパーやコンビニをはじめ、至る所で客も店側もこうした難題・珍問に振り回され、消費税がらみのトラブルも多発するだろう。「社会保障財源の確保」というそもそもの目的から外れ、「公平・中立・簡素」の基本を忘れた安倍政権による消費税増税。それを糊塗するが如き軽減税率の導入は、庶民の日常を戸惑わせ、「正直者がバカを見る税制」をさらに助長することになるだろう。(良穂)[2019/8/19]