茶飲み話[101]
「大山鳴動鼠一匹」(たいざんめいどうねずみいっぴき)。大山が鳴り響くので大噴火かと騒いでいると、ネズミが一匹飛び出しただけ。騒ぎが大きかったわりに結果は何もなかったという「ラテン語の諺」から作られたたとえである。事前の喧騒にもかかわらず、今回の参議院選挙も「大山鳴動鼠一匹」だったようだ▼自・公政権に反対する野党各党は、32ある一人区でギクシャクしながらも何とか共闘を成立させ、自民党の大物議員を打ち負かすなど10県で勝利した。しかし、22の選挙区で自民党の後塵を拝するなど、全体的には政権に打撃を与えるような戦果に繋げることはできなかった▼強大な与党に立ち向かう複数の弱小野党が、互いに違いを強調し、相争っていては勝てるはずがない。民主政治の基本である「政権交代可能な政治勢力の形成」をなおざりにして “ドングリの背比べ”を続けていたのでは、敵を利するばかりでなく、国民からも愛想づかしをくらうのは当然である▼「安倍政権には辟易しているが、野党がバラバラでは投票先が絞れない」「主導権争いしているだけの野党では頼りにならない」「投票に行っても何も変わらない」-。期間中、そんな声をたびたび耳にした。それがすべてではないにしても、総務省が発表した選挙区の投票率は48.80%。国政選挙の投票率が5割を切るのは戦後2回目で、1995年の参院選の44.52%に次ぐ低さだったという▼また、今回の選挙は「政治分野における男女共同参画推進法」が昨年5月に成立して以降、初の大規模国政選挙でもあり、その動向が注目された。結局、女性の当選者は選挙区18人、比例代表10人の計28人で、前回2016年と同数だった。主な政党別では、自民党10人、立憲民主党6人、共産党3人、公明党2人、国民民主党1人などで、全当選者124人の22.6%。法律はできたが、目に見える成果に繋げるにはまだまだ時間がかかりそうだ。(良穂)[2019/7/23]