茶飲み話[98]
♪♪戦争が終わって僕らは生まれた/戦争を知らずに僕らは育った/おとなになって歩き始めた/平和の歌を口ずさみながら/僕らの名前を覚えてほしい/戦争を知らない子どもたちさ―。北山修が作詞したこの歌は、1970年、大阪万博で初めて歌われ、翌年から20歳前後の大学生を中心に、若者たちの間でヒットしたフォーク調の反戦歌である▼時はベトナム戦争の真っ最中で、第2次大戦の終戦から25年目。さらに50年の歳月を経て、いまは戦争を知らない子どもたちの「第2世代」である。戦争を絵空事のようにしか思っていない若者も多いのかもしれない。大阪19区で当選3回、35歳の日本維新の会・丸山穂高衆議院議員が11日夜、北方四島のビザなし交流に同行していた国後島の宿舎で、戦争を肯定するかのような発言をして波紋を呼んでいる▼丸山議員は島返還の手段として戦争を持ち出し、元島民の団長に「戦争でこの島を取り返すことは賛成ですか?反対ですか?」と問いかけた。「戦争はすべきでない」と答える団長に、「ロシアが混乱しているときに取り返すのはOKですか?」「でも取り返せないですよね?」「戦争しないとどうしようもなくないですか?」などとたたみかけている▼丸山議員はこの発言の前に酒を飲んでいたというが、元島民らの抗議に対し、酒に酔っていたことについては謝罪したものの、戦争発言については「戦争で取られたわけですから、取り返すということに対して賛成か反対かを聞いた。別にそういう話があってもいいじゃないですか。何をダメだとおっしゃっているのかよくわからない」と開き直っていたという▼やがて、ことの重大さに気付いたのか。13日の夜になって「戦争」に言及したことについて「不適切だった」とし、問題の発言については「心から謝罪し、撤回させていただく」と謝罪している。若いといっても当選3回の政治家である。いったん口にしたことを撤回すれば済むというものではない。平和条約交渉が微妙な段階にある中でのこの発言。ロシア側の関係者も「日露の関係において最悪の発言」と批判しているという。こんな政治家が日本の進路にかかわっていると思うと、そら恐ろしささえを感じる。(良穂)[2019/5/14]