茶飲み話[99]

 安倍首相の在職日数が6月6日で通算2,720日となり、歴代3位の初代首相・伊藤博文と並んだ。順調なら、11月20日には歴代最長の桂太郎を上回る見込みだという。それにしても、4月の読売新聞に続いて、5月の日本経済新聞社とテレビ東京による世論調査でも、安倍内閣の支持率は55%となり、前回調査(3月)の48%から7ポイント上昇し、不支持率は35%に下がっている▼昨年の今頃はモリ・カケで「危険水域」と言われていた支持率が、突然過半数を超えたのはなぜだろう。読売と日経だけなら、なんとなく「そんなものか」と、それほど疑問に思う人はいないかもしれない。しかし朝日新聞も毎日新聞も程度の差こそあるものの、同時期の調査で軒並み「支持率回復」が出た▼森友、加計問題にとどまらず、この間の安倍政権は不祥事のオンパレードだった。閣僚の不適切な言動や行動、政府上層幹部によるセクハラや贈収賄事件なども起こっている。森友学園と財務省の交渉記録や、イラクやスーダンへの自衛隊派遣部隊の日報、加計学園の獣医学部新設にかかる文書などの隠蔽、毎月勤労統計の「お手盛り調査報告」などなど、「嘘と資料隠しと強行採決」の繰り返しだった▼そんな安倍内閣の支持率がなぜ下がらないのか、友人がこんな話をしてくれた。安倍首相は「お友達、仲間には徹底的にやさしく得をさせる。友人、知人の面倒は義理堅く守る日本的美風を備えた政治家」で、「戦争法も働き方改革も共謀罪も、そしてカジノ法案も成立させた。憲法改正もまっしぐらで、公約を実現している頼もしい政治家」である▼「日本を世界一企業が活動しやすい国に」という公約を実現している。その結果、お金持ちはもっとお金持ちになれる国にするありがたい政治家」であり、「アベノミクスの成果か人手不足で時給も上昇。非正規38%、年収200万円でギリギリだろうと生活ができる。カネがないと文句をいうヤツは、まず『働いてからにしてください』と毅然とした信念ある政治家」である▼「ムダな社会福祉は大幅に削減している。とくに怠け者を甘やかす生活保護費は引き下げる。10%切り下げたかったが5%程度にしておくという弱者にもやさしい政治家」であり、「北朝鮮にだまされてはいけない、韓国もウソつきの国。日本はしっかりと軍事費を増強していきます。米国からお下がりの兵器を買えば、ご機嫌取りもできるし、日本の軍事力も形だけは強化できる。一石二鳥を巧みに活用する政治家」である――と。なんともはや。(良穂)[2019/6/6]