茶飲み話[69]
何をどのように考えようと個人の自由である。しかし、それを口にしたり行動で表すとなれば、そこには当然責任が伴ってくる。そんな当たり前のことが分かっていない国会議員がいたことに驚く。自民党の和田政宗参議院議員(宮城県選挙区)である▼氏は3月19日、森友学園への国有地売却に関する決裁文書改ざんについての参議院予算委員会の集中審議で、「太田理財局長は民主党政権時代に野田首相の秘書官だった。増税派だからアベノミクスをつぶすために、安倍政権を貶める(おとしめる)ために、意図的に変な答弁をしているのか」と詰め寄った▼これに対して太田理財局長は、「私は公務員としてお仕えした方に一生懸命お仕えするのが仕事なんで、それをやられると、いくらなんでもそんなつもりは全くありません。それはいくらなんでも・・・、それはいくらなんでもご容赦ください」と怒りを抑え、声を震わせて応えていた▼和田議員の質問は、安倍政権擁護のお先棒を担ぐために自分勝手な想像だけで論旨を組み立て、安倍総理周辺からの”受け”を狙ったことは見え見えである。加計学園問題での文科省前事務次官の前川喜平氏に対する仕打ちを見ても、安倍首相を守るために、与党議員が権力を笠に着て官僚を誹謗中傷し貶める(おとしめる)手法は、お取り巻き議員の常道手段になっているようだ▼和田議員はそのあと、「党にも官僚にも嘘をつき、答弁がふらふらする太田理財局長、理財局、財務省官僚には、何らかの意図があるのではとの疑問すら感じる状況」-。「太田理財局長には申し訳ないが、あそこまで言わなければ財務省の調査は真剣にならない」と、わけのわからないことを言っている▼集中審議に臨む与党議員がこんな状態では、安倍政権に本気で真相解明を図る気持ちがあるとは思えない。改ざん前の文書に安倍昭恵夫人の名があったことについて太田理財局長は、「首相夫人だから・・・」と、暗に忖度(そんたく)が働いたことを認めている。真相究明のために佐川前理財局長の証人喚問も重要だが、見え隠れする「首相夫人の影」をはっきりさせなければことは収まらない。(良穂)[2018/03/20]