茶飲み話[67]

 4月1日から「無期転換ルール」が本格始動する。2013年に改正された労働契約法によって「有期契約が反復更新され、通算5年を超えたときは労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約に転換する」ことが企業に義務付けられたことによるものである▼非正規と総称される不安定雇用労働者は2,000万人を超え、雇用労働者全体の約4割を占めている。そのうちの約2割、400万人が本人の望まない、いわゆる「不本意非正規」だといわれている。そうした人たちにとって無期転換ルールの始動は、ちょっぴり朗報に聞こえるかもしれない▼しかし、手放しで喜んでばかりはいられない。「無期転換イコール正社員」ということにはならないからである。この法律の規定では雇用契約期間の変更だけで、賃金や昇進・昇格をはじめ、その他の雇用・労働条件を「正社員と同一」にすることにはなっていないからである▼すでに新ルールの適用を避けるため、有期契約が5年を超えないよう契約終了(雇止め)を行っている企業が続出しているという。また、賃金などの労働条件を変更せずに雇用期間だけを変える「無期限契約社員制度」や、勤務地や職務、労働時間などを限定した「限定社員制度」を作って対応する企業も少なくないという▼な~るほど、安倍総理が「この国から非正規という言葉を一掃する」と得意げに言っているのは、こういうことだったのか・・・。これでは非正規という言葉はなくなっても、低賃金労働者が構造的に位置付けられるだけであって、安心して働き続けることのできる条件づくりにはつながらない。働き方改革というなら、雇用形態によって賃金やその他の労働条件が大きく異なり、それを正当化している雇用・労働法制の立て直しこそ急務である。(良穂)[2018/02/05]