茶飲み話[57]

 「先の国会での森友学園への国有地売却の件、加計学園による獣医学部の新設、防衛省の日報問題など、さまざまな問題が指摘され、国民のみなさまから大きな不信を招く結果となりました。そのことについて、冒頭まず、あらためて深く反省し、国民のみなさまにお詫び申し上げたいと思います」―。安倍総理の記者会見の切り出しである▼8月3日に行われた第3次安倍改造内閣には、初入閣が6人、再入閣が7人、麻生副総理兼財務大臣や菅官房長官など5人が留任した。改造とはいうものの、安倍総理にとっては、春の国会でその無能ぶりをいかんなく発揮し、「疑惑・隠ぺい三昧」の安倍内閣の実像を国民の前にさらけ出した“戦犯”ともいうべき文科大臣、法務大臣、防衛大臣の首を切り、経験者と入れ替えただけのようである▼これでは「経済最優先の“仕事人内閣”だ」と自賛しても、国民の目には「リバイバル内閣」か、「疑惑隠ぺい内閣」にしか見えない。と思っていたら案の定、江崎沖縄・北方担当大臣が5日、地元・愛知県一宮市の支持者を前に「今後の国会答弁で立ち往生することのないよう、役所の答弁書を朗読する」「北方領土問題については素人。みなさんの知恵で色をつけてもらう」などと口を滑らせ、早々と馬脚を現した▼「さまざまな問題」に蓋をしようとしても、総理自身にまつわる森友学園、加計学園に関する疑惑は深まるばかり、陸自の日報問題の責任もあいまいなままである。「国会から求められればいつでも出て行って、丁寧に説明し国民の理解を得る」とは口先だけで、納得できる説明は全くしていない。支持率の低下は、そんな総理自身への国民の愛想尽かしであることは明らかである▼籠池夫妻と深くかかわり、森友学園の名誉校長になっていた昭恵夫人も、そして、若いころからの「腹心の友(刎頸の友の間違い?)」だという加計孝太郎氏も、いまだにだんまりを決め込んだままである。そんな中で「深く反省し、国民のみなさまにお詫び申し上げたいと思います」と甲高い声でまくし立てられても、「何を本当に反省しているのやら」と思わずにはいられない。(良穂)[2017/08/08]