茶飲み話[55]

 東京都議会議員選挙の自民党公認候補の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と、自衛隊の政治利用ともとれる発言をした稲田朋美防衛大臣。弁護士でもある稲田氏が、自衛隊員は選挙権の行使を除くほか、政治的行為が制限されていることを知らなかったとすれば、あまりにもお粗末である▼民進党など野党は「大臣としての資質に欠ける」と罷免を求めているが、本人は「誤解を招きかねない発言に関して撤回したい」と言い、安倍総理も「誤解と受け取られかねない発言」として謝罪したものの、防衛大臣は続投させる考えだという。これを受けて菅官房長官は、「(本人が)しっかりと説明責任を果たし、今後とも誠実に職務に当たってもらいたい」と記者会見で述べている▼安倍政権は、不祥事を起こすたびに「本人の説明責任」を常套句にしている。しかし、いったん口を衝いて出た言葉を撤回するというのも分かりにくい話だが、間違ったこと、世間の常識に反すること、法律に違反することなどをしてしまったあとで「しっかりと説明責任を果たす」と言われても、何をどうするというのだろう▼稲田氏の「とんでも発言」はこれが初めてではない。3月には、大阪の森友学園の訴訟問題には「一切関与していない」と強弁していたが、裁判所の記録が明らかになって嘘がばれ、発言を撤回し謝罪している。また、南スーダンにPKO派遣されていた陸上自衛隊の日報を「廃棄した」としていたが、実在していたことが明らかになって撤回・陳謝、「省内の特別監査を行う」などとのんきなことを言っていた。この件では、稲田氏が自衛隊から軽んじられ、信頼されていないとして「即刻辞任すべし」という声が少なくなかった▼安倍総理は稲田氏を将来の首相候補として育てたいと周囲に語っているという。ぬけぬけと嘘をつき、所管する役所の幹部からは軽んじられ、これほど不勉強な人物が将来の首相候補とは、安倍総理の目が曇っているのか、自民党に人材が枯渇しているのか。何とも嘆かわしい限りである。〝豊田真由子様"ならずとも「どうしてそんなことに、な~る~の~か~な~」「なるんでちゅか~」。(良穂)[2017/07/03]