茶飲み話[53]
高齢者、とりわけ低所得高齢者が賃貸住宅などへの入居を断られるケースが後を絶たない▼そのため退職者連合の男女平等参画推進委員会は、政策・制度要求の中で、政府や地方自治体に対し、その速やかな改善を求め続けている。「居住の継続が困難な低所得高齢単身女性に対し優先的に公営住宅等への入居・転居を可能にすること」や、「入居時の身元保証人や身元引き受け人など家族にかわって必要な手助けを行う支援事業を推進すること」などである▼このほど、国が高齢者・低所得高齢者に空き家を紹介する制度を今年の秋からスタートさせるというマスコミ報道に接した。入居を拒まない空き家などの物件を自治体に登録してもらい、家探しに困っている高齢者らに情報提供したり、低所得の場合には家賃補助などを行う制度のようである。全国で急増している空き家の有効利用にもつながるとして国交省が力瘤を入れているようだ▼構想では、空き家の登録を受けた自治体が、業務委託しているNPO法人や社会福祉法人を通じて入居希望者の募集などを行い、入居を断られることの多い高齢者・低所得者のスムーズな家さがしを可能にする計画である▼高齢者が住みやすくするために空き家を改修する場合には、所有者に最高200万円の補助。入居者が低所得である場合には家賃を最高月4万円補助するほか、滞納した場合の債務保証料も最高6万円補助するという▼とにかく使い勝手の良い制度にしてほしいものだが、詳細は不明である。しかし、運動を続けてきた男女平等参画推進委員会にとっては一つの朗報であるに違いない。「終(つい)の棲家」の問題だけでなく「孤独死」の問題などもあり、低所得高齢者の問題はいまや見過ごしにできない社会的課題である。さらに運動を前進させ、「誰もが安心して老いることのできる社会」「生き生きと安心して暮らせる社会」にしたいものだ。(良穂)[2017/06/13]