茶飲み話[52]

 安倍政権がなんとも胡散(うさん)臭い。森友学園への国有地格安払い下げをめぐる疑惑も晴れぬ間に、今度は加計学園問題である。安倍総理の“腹心の友”が理事長を務める学園が、政府の国家戦略特区に指定された愛媛県今治市に新設する岡山理大の獣医学部をめぐる疑惑である。森友学園も加計学園も、直接的な利害関係者が安倍総理と極めて親しい間柄であったことから、二つ合わせて“安倍友疑惑”と揶揄されている▼いずれも国家権力の介在が疑われる内容であることから、国会でしっかりと事実解明すべきである。しかし、森友学園の方は追及する野党側の手詰まり感もあって、安倍総理も昭恵夫人も何とか逃げ切ったと思っているのだろう。過去のこととして受け止めているようで、多くの国民は消化不良状態である▼加計学園の問題も、関係者の間ではかなり前からくすぶっていた。文部科学省の事務次官を1月に退任したばかりの前川喜平氏が記者会見し、自身の在任中「総理の意向、官邸トップの意向などとする文書は本物であり、存在する」と暴露した。これに対して菅官房長官は「出所不明の怪文書」と切り捨て、松野文部科学大臣は「文書の存在は確認できなかった」と逃げ回っている▼いずれの疑惑も解明の壁になっているのは、官邸と役所が一体となって情報を隠し通していることである。さらに質(たち)が悪いのは、総理や昭恵夫人が「尊敬する人物」であったはずの森友学園の籠池前理事長や、今年1月まで官僚のトップであった前川氏を、安倍総理や菅官房長官などの官邸トップが徹底的にこき下ろし、マスコミを使って人格さえ貶(おとし)める喧伝をしていることである。“げにも恐ろしきかな国家権力”である▼この上、包み紙を変えただけの「共謀罪」の成立を許すようなことになれば、北朝鮮の弾道ミサイルにも匹敵する危険な玩具を安倍政権に持たせるようなものである。 “安倍友疑惑”を自ら晴らすこともできないこんな胡散臭い政権を、いつまでも勝手放題させておいてはならない。早いところみんなで力を合わせ、経済制裁ならぬ“政治制裁”を加えなければ・・・。(良穂)[2017/05/29]