茶飲み話[48]
政府は、カジノ賭博設置の実施法策定に向けて、本格的な動きを見せている。多くの国民が最も懸念している「ギャンブル依存症対策」について、本人や家族の申告によって競馬や競艇、競輪などの公営ギャンブルとともに、パチンコ店への入場も制限することを検討している▼すでに国会内には、総務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、産業経済大臣、国土交通大臣、金融特命担当大臣、消費者及び食品安全担当特命大臣、国家公安委員長、内閣官房長官で構成する「ギャンブル依存症対策推進関係閣僚会議」が設置されている。この政府案をもとに論点整理をするのだという▼たしかにシンガポールでは、家族からの申告によってカジノ賭博場への入場制限を行っている。しかし日本政府の考え方は、パチンコを加えることで「依存症対策に本気で取り組んでいるという姿勢」をアピールするだけが狙いのようだ。警察庁所管のパチンコ業界から反発が出て“アワと消える”ことは折り込み済みなのだろう。このほかに、公営競技場内外券売場のATM(自動現金支払機)でクレジットカードで借金をするキャッシング機能の廃止も検討しているらしい▼また、全都道府県や政令市に専門治療・相談拠点を整備し、依存症相談員を配置することや、高校の保健体育で指導するため教科書にもギャンブル依存症について記載することなどを整理し、今年の夏をめどに実行に移すための工程表を策定する方針のようだ。これと並行して自民・公明の両党も、依存症対策の基本法案を協議する与党のプロジェクトチームを設置して、今193通常国会での成立を目指している▼利益が出なければ成り立たないのが商売である。入場制限などをしても、たちまち「背に腹は代えられない」ことになるのは目に見えている。人の不幸の上に成り立つ経済対策など「下の下」、邪道以外の何物でもない。(良穂)[2017/03/31]