茶飲み話[27]
「口は禍(わざわい)の門(もん)」という。一般的には「口は災いのもと」といわれている。「善意で言ったことでも思わぬ誤解をうけて災いになることがある。まして、うっかり口にしたり、悪意による言葉にはそれ相応の反応があるものと思わなければならない」という先人の戒めである。このところ、安倍内閣の内側から、そんな諺を彷彿させる発言が相次いでいる▼丸川環境大臣は、福島原発事故による放射能除染に関する国の基準が「年間1ミリシ-ベルト」であることについて、「1ミリシーベルトには何の科学的根拠もない」と発言し、その後陳謝・撤回した。高市総務大臣は衆議院予算委員会で「放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返した場合には、電波停止を命じる可能性もある」との恫喝発言である▼お粗末なのは島尻安伊子沖縄北方担当大臣。記者会見で「歯舞」という字が読めず秘書に助けを求める始末。また、閣僚ではないが丸山和也参議員も負けてはいない。参議院憲法調査会でアメリカのオバマ大統領を「奴隷の血を引く黒人が大統領になった」と、外交問題にも発展しかねない差別発言をやらかした。このほかにも、キリがないほどの不祥事・不適切発言のオンパレードである。これら不祥事・不適切発言は、閣僚や国会議員としての自覚や責任感が欠如し、国会での絶対多数に慢心してのことだろう▼しかし、何といっても極め付きはこの人。年金積立金運用に関する民主党議員の質問に対し、安倍総理は「株価下落で想定を下回る状況が長期に続いた場合、給付額を減額する可能性がある」と宣うた。年金積立金は国民のものである。安倍政権は株価を高値維持させるために、積立金の50%をリスク性の高い株式投資に振り向けることにした。多くの国民が運用損失による目減りを心配し反対しているが、やはり失敗しても責任は取らず「年金を減額する」と、語るに落ちたのである▼そういえば『口利き疑惑』で大臣を辞任した甘利前経済財政担当大臣。睡眠障害とやらで、1月末から国会に姿を見せていない。安倍総理の「甘利隠し」とも囁かれているが・・・。(良穂)[2016/03/14]