茶飲み話[94]

 国連の関連団体(持続可能開発ソリューションネットワーク)が、先ごろ公表した今年の「世界幸福度報告」によれば、日本は156カ国・地域中58位で、昨年より四つ順位を落として過去最低となった▼報告の基になっているデータはギャラップ社(米国)の世論調査で、各国・地域の各3千人程度が、生活の満足度を答えたもので、①1人当たりの国内総生産(GDP)②社会的支援の充実ぶり ③健康寿命 ④人生の選択の自由度 ⑤寛容さ ⑥社会の腐敗の少なさ、の6項目を用いて分析を加えたものだという▼1~3位は昨年に続き、フィンランド、デンマーク、ノルウェーの北欧3カ国が独占、続いてアイスランド、オランダ、スイス、スウェーデン、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアなど。アメリカは19位、韓国は日本より4ランク上の54位、中国は93位だった。OECD加盟36カ国で見ても、日本は32位と低迷している▼健康寿命ではシンガポールに次いで2位、1人当たりGDPは24位だったが、「人生の選択の自由度」64位、「寛容さ」92位が足を引っ張ったようだ。過去の順位は、昨年(2018年)は54位、17年51位、16年53位、15年46位となっていて、これまで40位を上回ったことがない▼46位だった2015年といえば、イスラム教過激派による日本人2人の拘束・殺害された事件や、鳩山由紀夫総理が政府の中止勧告を無視してクリミア半島を訪問するなど、外交的に揺れ動いた年であり、国内では中国人観光客による「爆買い」や、安倍内閣の「1億総活躍社会」などの言葉が躍った年でもあった▼加山雄三さんが歌う「君といつまでも」のセリフ部分、「幸せだナ~、僕は君といる時が一番幸せなんだ・・・」のように、幸せの感じ方は人それぞれである。しかし、人手不足でも若者の雇用は安定せず、高齢者の命綱である社会保障が年々先細りしている日本の現実は、最大公約数の庶民から幸福への夢を失わせていることだけは確かなようだ。(良穂)[2019/3/25]