茶飲み話[113] 「戦後」ということ

 今年は戦後75年、被爆75年という節目の年である。日本の経済的発展をもって、「もう戦後は終わった」と言った首相がいた。戦前戦後の苦しい生活から抜け出したという意味で、「戦後は終わった」のかもしれない。

△1945年の敗戦から75年経った。誤った戦争の遂行により日本国民のみならず、アジアの国々にも大きな被害をもたらした。非人道的行為が行われた。戦争の悲惨さは言葉に尽くせず、二度と同じ過ちを繰り返えしてはならない。

△この反省に立って、平和主義、国際協調、主権在民、基本的人権の尊重などの理念を基本とした日本国憲法のもと、戦後労働運動の柱の一つに平和と民主主義が位置付けられた。

△米トランプ大統領は、アメリカファーストの名のもとに諸外国と対立を繰り返している。地球温暖化阻止のパリ協定に参加せず、国際協調を無視している。国際政治の場で、自分本位の行動を取り続け、毎日嘘をくり返し、発信している。嘘と民主主義は相入れない。嘘が世界に蔓延している。

△日本でも嘘が蔓延している。森友・加計問題、自衛隊の日報隠し問題、桜を見る会でも嘘と忖度が横行している。全て安倍首相が関わっている。忖度と情報隠し、権力の私物化が日本の政治、平和と民主主義を脅かしている。

△今年は、NPT(核不拡散条約)が発行して50年になる。今春、NPT再検討会議が国連で開催される。INF(中距離核戦力)全廃条約は昨年8月失効した。核戦争の危機が高まっている。

△こうした情勢の中、連合、原水禁、KAKKINは、核兵器廃絶と核兵器禁止条約の早期批准を求めて、1000万署名に取り組んでいる。必ず、成功させなくてはならない。退職者連合も150万筆を目標に取り組んでいる。

△昨年、天皇の代替わりがあった。平成から令和に元号が変わった。昭和、平成、令和と戦後75年、日本は戦争に参加せず、戦争によって日本人が命を落とすことはなかった。戦後、日本国憲法のもと、労働運動や市民活動により平和と民主主義を大事にしてきた帰結である。「戦後」とは、平和と民主主義と結びついた言葉であり、大変重みのある言葉である。戦後75年、被爆75年という節目の年にあたり、いつまでも平和な「戦後」が続くよう、大事にしたい。

退職者連合会長 人見一夫