茶飲み話[109]
連合(日本労働組合総連合会)は、11月21日に結成30周年を迎える。1989年、官民統一による「連合」の誕生は、わが国労働組合の壮大な力合わせといわれ、「力と政策」による新しい労働運動のスタートとして、経済界や政界からも好感と期待を持って迎えられた。力と政策の運動とは「自らが政策を立案・提言」し、「実現させるための力を持った運動」ということであった▼いま、労働組合加入者は全国で1000万人強、推定組織率は17%程度で、かろうじて1000万人台に乗っている。そのうち連合の組合員は700万人弱で、1989年の結成時から100万人を超えて減少し、組織率も連合だけなら12%足らずでしかない▼労働組合加入者が1000万人を超えたのは、東京と大阪間に新幹線が開通し、東京オリンピックが開かれた1964年。その頃も組織率は漸減しつつあったが、それでも何とか30%半ばをキープしていた。しかし、それから25年後、連合が結成されるときには26%ほどに下落していた▼いまでは雇用労働者は約6000万人、1964年に比べて2000万人以上も増えている。産業・企業の拡大による雇用労働者の増大に労働組合の組織化がついて行けず、加えて、省力化投資や雇用形態の多様化が組織率の低下に拍車をかけてきた。「組織率は労働運動の力を測るバロメーター」といわれるが、その意味では、労働運動の力の下振れに歯止めがかからないのである▼連合の「政策・制度要求と提言」は微に入り細に入り、国の政策審議会などへの参加も拡大・定着している。しかし、残念ながらそうした活動の成果を実感することは難しい。外国人労働者に頼らざるを得ないほど深刻な人手不足でも雇用・労働条件改善の足取りは重く、日常の生活コストの上昇と公的年金の目減りで、かつては長きにわたって組合員だった高齢者の暮らしも日ごとに厳しさを増している▼政治が悪いと言ってしまえばそれまでだが、それを含めて連合が期待されるものは少なくない。結成30周年を機に、危機感をもって組織や運動のありようを見つめ直し、「力と政策」による体を張った運動、見える運動への踏み込みが必要だと思うのだが・・・。(良穂)[2019/10/28]