茶飲み話[91]
厚労省の毎月勤労統計の不正は、次から次へと新たな事実が明るみに出て、「どこまで続くぬかるみぞ」の様相を呈している。森友事件で前代未聞の公文書改竄(かいざん)をした政府・与党は、今度は厚労省の毎月勤労統計のみならず、基幹統計での不正まで発覚し、まさしく「国家の危機」といっても過言ではない▼総務省が基幹統計、すなわち国政の判断材料として活用している最も重要な統計は55あるという。そのうちの4割で不正が発覚したというのだから、怒りを通り越して言葉も出ない▼安倍総理は、第198回通常国会開会冒頭の施政方針演説で、「この6年間、経済は10%以上成長し、国・地方合わせた税収は28兆円増加した」等々と具体的な数字を挙げ、アベノミクスの成果を自画自賛してみせた。28年ぶりの経済成長、4年連続の賃上げ、戦後最長の好景気だと成果を誇る▼たしかに、輸出大企業などは空前の利益をため込んでいるかもしれない。その意味ではアベノミクスは、まさに大成功なのだろう。しかし、庶民の生活は厳しく、「実感なき経済成長」で、「賃上げの結果も怪しい」と追及する野党の質問に応えて、安倍総理は苦し紛れに、あろうことか「連合」の賃上げ集計数字を根拠に反論している▼南スーダンにPKO派遣されていた陸上自衛隊の日報を隠したり、森友事件では公文書改竄というアクロバットを演じたり・・・。そして今度は、基幹統計に意図的ともいえる不正が行われていたという。もはや安倍政権が作成する統計資料や文書は全く信用できないということではないか▼以前もこの欄でふれた松坂慶子さんの「愛の水中花」は、♪これも愛 あれも愛 たぶん愛 きっと愛 ~だが、安倍総理の国会答弁は、♪これも嘘 あれも嘘 たぶん嘘 きっと嘘 ~である。予算委員会で本格論戦が始まった。「安倍政権の深層でいったい何が起こっているのか」、党利党略や忖度(そんたく)を排し、与・野党による徹底的な真相解明が求められる。(良穂)[2019/2/5]