茶飲み話[89]
2019年度の当初予算案で防衛費が5兆2574億円に膨らんでいる。今年度当初より1・3%増え、5年連続で過去最大となった。その中には、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦を空母化するための調査研究費や、敵基地攻撃が可能な長距離巡航ミサイルを米国から購入する費用も盛り込まれている▼そんな折も折、防衛省は、12月20日午後3時ごろ石川県の能登半島沖の日本海で、海上自衛隊のP1哨戒機が韓国海軍の駆逐艦から射撃管制用レーダーの照射を受けたと発表した。射撃管制用レーダーとはミサイルなどを発射する際に目標に照準を合わせて追尾するためのもの。哨戒機は駆逐艦に対しその意図を問い合わせたが応答はなかったという▼その後の日本側の抗議に対して韓国側は、「遭難した北朝鮮漁船の捜索のための照射であり、哨戒機が低空で飛行してきた」などと主張。双方の言い分が真っ向から食い違っている▼安倍政権は、これまでも中国船の領海侵犯を口実に集団自衛権行使容認を強行し、北朝鮮の核実験をめぐって朝鮮半島情勢が険しくなるとみるや、わが国の護衛艦による米国艦船護衛の実績づくりを行うなど、ことごとく脅威を煽って軍備増強を図ってきた。今回の事件も、安倍政権にとっては「天の助け」なのだろうか▼そんなこんなで、米国から大量の兵器を買い付けているので、国内の軍事産業への支払が出来ないという。東京新聞によれば「防衛省は航空機や艦船の部品を扱う国内のメーカーや商社に対し、19年度に納入される部品の契約を変更して追加発注する代わりに、代金の支払いは追加分が納入される21~23年度に一括して行うと提案した」という▼何事も予算あってのことなのに、米国からの兵器購入にはこの原則は通用しない。それが安倍総理とトランプ大統領との友情の証(あかし)なのだ。しかし、必要なだけお金をかけるのは、軍備ではなく、先細りさせられている社会保障にしてほしいものだ。良穂[2018/12/26]