茶飲み話[87]
11月21日は官・民統一連合の誕生日である。1980年代の終わり、東西両ドイツを分断していたベルリンの壁崩壊に象徴される東欧社会主義国家の破綻によって、「イデオロギー対立時代の終焉」と言われた時期があった。それとほぼ時を同じくして、わが国では89年11月21日、労働界の再編・統一が行われ、連合が誕生した。それに反対していたグループは全労連や全労協を結成した▼それ以前は、総評・同盟・中立労連・新産別による、いわゆる労働4団体時代が長く続いていた。とりわけその中で、社会党支持と共産党支持が混在していた官公労主体の総評と、徹底した反共主義で、民社党を支持していた民間労組主体の同盟とが激しく対立し、自陣営の勢力拡大にしのぎを削っていた▼そのため、総評や同盟は労働条件向上への取り組みはもとより、理論武装のための加盟組合教育や機関紙・誌の発行、文化活動なども活発に行い、大衆行動も頻繁に行っていた。政治的イデオロギーによる対立と競合が当時の労働運動の存在感を、ある程度維持する効果をもたらしていたといえよう。しかしいまでは、そうした活動の多くが姿を消して久しい▼発足時、連合の組合員数は800万人、全労連は90万人であった。そして30周年を来年に控えた今日、連合は680万人、全労連は54万人、「労働運動の力を測るバロメーター」ともいわれる推定組織率も25.9%から17.1%に低下している▼雇用労働者はこの間に1,100万人増えたが、そのうちの400万人が非正規雇用である。その結果、職場の組合員比率が低下し、集団的労使関係の力のバランスに大きな影響を及ぼしているとの指摘もある。雇用延長や再任用がさらに進み、外国人労働者の受け入れが拡大すれば、さらなる低下が懸念される▼人手不足の今日、労働運動・労働組合には追い風になっているはずである。すべての労働者にとって必要性が実感できる組織であり続けるために、労働運動・労働組合はいま何をなすべきか。知恵と実行力が問われている・・・。(良穂)[2018/11/21]