茶飲み話[32]
あまりにも下劣で唾棄したくなるほどである▼舛添東京都知事をめぐる数々の問題、政治資金規正法に抵触するとかしないとかはさておいても、マスメディアの報道で知る限り、立場を利用しての公私混同が甚だしく、公人としてのあり方がまるでわかっていない。そして言行不一致、すさまじいほどの私利私欲の塊で、カネの亡者でもあるようだ。都政について語るために設けられている金曜日の定例記者会見、この頃は「定例釈明会見」さながらである▼しかし、指摘される疑惑や問題について、本人自身は何一つ具体的に語っていない。はじめは「精査してお答えします」と言い逃れていたが、新たな疑惑が次々と浮上し、追及をかわし切れないと見るや、「公正な第三者に厳しく調査していただく」と宣う。そして調査を依頼したとする二人の弁護士の名前も明かさず、「元検事」というだけ。ことばの響きで、あたかも「公正で厳しい第三者」であるかのようなイメージをアピールする狙いなのだろう。その調査とやらも「一日も早く」と言いながら、いつまでかかるのか明らかにしない▼そもそも、そんな調査など必要ないはずだ。あれやこれやの内容については、本人が一番よく分かっているのである。とにかく時間稼ぎ、逃げ切りを図ろうとしていることが見え見えである。この頃では、テレビに映し出される顔も口元が歪み、目だけがぎらぎら光って、狡猾なイタチかムジナを彷彿させる。こんな品性下劣な人物が、日本の首都・東京のトップに座っていると思うと実に情ない。一日も早く辞めてほしい▼1日から始まった都議会で、現職知事の恥ずべき行為と責任を明らかにすることができるのか、都民のみならず全国民が注視している。都議会与党で過半数を占める自民党と公明党は、徹底追及には消極的だという。前回の選挙で舛添支持をした両党にとっては、辞職されたら7月の参議院選挙に響くのと、都知事選挙で勝てる候補者がいないことがその理由だそうな▼公私混同、私利私欲に溺れる知事も酷いが、もしも党利党略でそんな知事に手加減する政党があるなら、それも同じ穴のムジナに等しい。(良穂)[2016/05/30]