茶飲み話[25]
参議院選挙まで残すところ半年余り。安倍自公政権に対抗するため、「野党の力合わせを」との声は聞こえるものの、具体化の気配すら感じられない▼古い話で恐縮だが、参議院で与野党が逆転したのは1989年。当時、野党であった公明党が、与野党逆転を実現するため、参議院全国区(現在の比例区)に社会党、民社党との統一名簿方式で臨むことを提唱していた。しかし当時の社・民両党の関係からすれば、それは実現不可能なこと▼そこで、公明党の矢野絢也書記長が話を持ち掛けたのは、連合(民間)の山田精吾事務局長であった。両氏は極秘裏に何回かの会談を重ね、連合が呼びかける形で「社会・公明・民社・社民連の4党と協議し、自民党独占区に統一候補を立て、当選後はどの政党にも属さない新会派をつくる。それを懸け橋に新しい政治の流れをつくろう」との構想を取りまとめた。当初は社会党や民社党、連合の内部からさえ数カ所で候補者を擁立できれば上々といった程度で受け止められていた▼しかし、89年2月に行われた参議院福岡選挙区の補欠選挙で社会党公認の連合候補が自民党に圧勝したことで状況は一変した。以降、7月の本番に向けて急ピッチで統一候補者づくりを行うこととなり、山田が中心となって4党の書記長、選対委員長などとの協議を繰り返し、候補者擁立が目される現地に足を運んで関係者の意見を聴くなど、丁寧に準備を進めた。その過程で山田が腐心したのは、「社会的に広く支持が得られる候補者を立てることができるかどうか」であった▼その結果、11選挙区で4党統一候補の擁立に成功、岡山は社会党が独自候補擁立を譲らなかったため、3党統一候補となった。12人のうち労働組合出身者は一人だけ。結果は、4党統一の11選挙区で完勝し、与野党逆転の一角を担うことができたのである。今度の選挙でも、野党それぞれが「違い」を強調するあまり、大きな目標を見失わないでほしいのだが・・・。(良穂)[2016/01/12]