茶飲み話[16]
安倍総理は「日本を世界で最も企業が活動しやすい国にする」と巧言し、企業減税を推し進めている▼2015年度には25.5%から23.9%に引き下げ(国税・地方税の合計では34.62%から32.11%に)、その後さらに段階的に引き下げ、数年で国税・地方税合わせた法人実効税率を20%台にするという▼ちなみに、1984年には法人の実効税率は国税分のみで43.3%であったが、88年には42.0%に、3%の消費税が導入された89年には40.0%に引き下げられ、90年には37.5%、消費税が5%になった翌年の98年には34.5%%になり、99年には30.0%、そして2012年に現在の25.5%になった▼国会で審議中の2015年度一般会計予算、その歳入比率は消費税が17.8%、所得税17.1%、法人税11.4%、その他10.4%で、残りは特例公債と建設公債となっており、消費税が法人税を抜いて国税収入のトップである。これを見れば、政府・与党がどんなに「消費税は社会保障財源に充てる」と喧伝しても、その実、消費税増税が企業減税の穴埋め財源になっているのは明らかだ▼税制問題の権威者・富岡幸雄商学博士(中央大学名誉教授)は、「大儲けしている巨大企業がグローバル化し、無国籍化して税制の欠陥や抜け道を巧みに活用、節税をし、ときには地球的スケールでの課税逃れをしている」と喝破し、「巨大企業が正しく納税すれば消費税増税は必要ない」と言い切っている▼近々、心ある弁護士や消費者団体などが「公正な税制を求める市民連絡会」を立ち上げる。年金・医療・介護などの社会保障制度が揺らいでいる今、われわれも無関心ではいられない。(良穂)[2015/03/16]