茶飲み話[24]
▼昔々、獣族と鳥族が戦争をしていました。蝙蝠(こうもり)は、獣族が優勢になると「私は全身に毛が生えているので獣の仲間だ]といい、そちらに味方します。鳥族が優勢になると、今度は「私は翼があるので、鳥の仲間だ」といい、鳥族に味方します。やがて獣族と鳥族が和解し平和が訪れると、そのことが獣族にも鳥族にもバレてしまいました。こうして蝙蝠は獣族からも鳥族からも仲間外れにされてしまい、誰もいない夜しか行動することができなくなってしまいました。▼そんなイソップ物語を彷彿させる出来事が国会で演じられた。1月7日、与野党は衆議院予算委員会の平成27年度補正予算案審議に先だち、昨年末に結成された「おおさか維新の会と改革結集の会」に対する質問時間の配分をめぐって協議した。自民党などは「おおさか維新の会と改革結集の会は野党」だとして野党の時間配分の中での調整を求めた。これに対し民主党は、与野党どちらでもない「や党とよ党の中間の『ゆ党』だ」と主張し、協議は紛糾したという▼最後は、質問時間が野党に多く配分されていることから今回に限り与党が7分、野党が26分を譲ることで決着した。おおさか維新の会、改革結集の会は「自分たちは野党だ」と主張し、今後は民主党の質問時間を減らして融通するよう求めていくという▼これまでも、大阪を中心とする維新の会は労働組合を極端に敵視し、不当労働行為を平然と犯すなどの暴挙を繰り返してきた。また、自民党と同調し憲法改正を主張してはばからない。しかし夏の参議院選挙を思えば、数を頼んでの強権・横暴の限りを尽くしている安倍政権ベッタリでは不利だと判断したのだろう。与党になったり野党になったりの蝙蝠のような動きに、『ゆ党』とは、まさに言い得て妙である。(良穂)[2016/01/08]