茶飲み話[33]
退職者連合の1年間の活動は、年金・医療・介護を柱とする「社会保障制度等の要求」と、毎年9月に開催する全国高齢者集会が中心である。政策・制度要求では年に1~2回、厚生労働省や支持する政党への要請行動を行い、それをバックアップする形での院内集会などである▼安倍政権はいま、国の財政運営の最大課題は「増大する社会保障費の抑制にある」として、徹底した「給付の抑制」と「負担増」の政策を推し進めている。そのため、われわれが、一片の要求書を関係省庁や政党に持ち込み、院内集会で気勢をあげる程度では、「注文を付けてみる」だけのことで、実効はあまり期待できない▼その意味では、今日の政治状況から、われわれの運動は「社会保障制度の充実を目指す」というより、「これ以上後退させない」ための精一杯の闘いだと言えよう。しかしこのままでは、ずるずると後退させられ、年金・医療・介護を柱とする社会保障制度は先細りし、崩壊にさえ向かっているといっても過言ではない。われわれが生きている間は何とか持ちこたえても、これから退職者・高齢者の仲間入りをする若者たちの将来は限りなく不透明である▼このような状況から反転攻勢するには政治の流れを変え、歴代自民党政権、自・公政権がズタズタにした雇用秩序を回復させ、雇用の安定を図るしかないのだが・・・。しかし、なぜか安倍内閣の支持率は高く、先の参議院選挙でも予想を上回る大勝を許してしまった▼いつの時代でも労働運動は、社会を改革する力であってほしい。連合の奮起に期待するとともに、古き良き時代を歩んできたわれわれ自身が、「子孫に美田を残さず」とはいうものの、子や孫たちが安心して暮らせる社会にするために、もっとしっかりすべきなのだろう。そのためにも「行動する退職者連合」でなければならない。(良穂)[2016/07/19]