茶飲み話[60]

 「イヴァンカは 笑顔で稼ぐ 57億円」―。安倍総理は11月3日、海外の女性指導者らを東京に招いて開かれた国際シンポジウムに、トランプ大統領に先立って来日した大統領の長女・イヴァンカ大統領補佐官とともに出席。イヴァンカさんが設立にかかわった「女性起業家を支援する基金に5000万ドル(約57億円)を拠出する」と表明した▼マスメディアは、あたかもイヴァンカさんが運営する基金への拠出のように報じたが事実は違っている。イヴァンカさんの発案で本年7月に設立されたのは事実だが、彼女は「基金の運営・管理、資金調達には関与していない」という。運営しているのは世界銀行で、アメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ、中国、日本、韓国など13ヵ国が参加している。安倍総理得意のパフォーマンスだった▼「敗戦の 日を呼び覚ます 横田基地」-。羽田でも成田でもなく、米軍横田基地に降り立ったトランプ大統領。1945年8月30日、神奈川県厚木飛行場に降り立ったマッカサ―連合国司令長官と重ねてみた者も少なくなかったろう。トランプ大統領滞在の3日間、安倍総理は、「ドラえもん」のジャイアンにへつらうスネオのように、“おもてなし”に懸命だったが、進駐軍にへつらう昔日日本の姿にも似ていたと知る人はいう▼「アメリカの メディアも揶揄する おもてなし」―。安倍総理は「日米同盟」を強調するが、国家間の同盟とは対等な立場に立って成り立つもの。今回のトランプ大統領に対する安倍総理の対応は、同盟というより「隷属関係」に見えたのは筆者だけではあるまい。6日付けのワシントン・ポスト紙も「日本の指導者である安倍総理大臣はトランプ大統領の忠実な相棒を演じた」と揶揄している▼「ニッポンの 味がしたでしょ 独島エビ」―。トランプ大統領と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との晩さん会に元慰安婦の女性が招待され、竹島付近の海域で採れたエビを「独島エビ」として振る舞われたという。この「反日メニュー」、「アメリカ追随の日本とは一線を画している」という金正恩向けのメッセージだったのだろうか。それにつけても、トランプ大統領を迎えて、やけに存在感を見せつけた中国の、これからの動きが気にかかる。(良穂)[2017/11/13]