茶飲み話[62]
高齢者や低所得者向けに、民間の空き家や空き部屋を賃貸住宅として活用する制度が、本年(2017年)10月25日からスタートした。4月に成立した「改正住宅セフティネット法」にもとづく制度である。これについては、退職者連合の男女平等参画推進委員会が、2014年から「低所得高齢単身女性問題に関する政策・制度要求」として、その実現を強く求めてきた▼要求内容は①国・地方自治体は、居住の継続が困難な状態にある低所得高齢者、とりわけ低所得高齢単身女性に対し、一定の質が担保された住居の確保と速やかな入居・転居を図ること、②国・地方自治体は個人情報に配慮し、常に低所得高齢者の住居の種別実態ならびに暮らしの状況把握を行ない、低所得高齢者、低所得高齢単身女性が安心して暮らせる住環境の整備をはかること、などである▼これに対して改正法では、空き家などの所有者が高齢者や低所得者などの入居を拒まない物件を自治体に登録し、それらの物件を国がインターネット上に開設した専用ページ「住宅セフティネット」で検索できるようにしている。制度を活用して住宅を決めた低所得者(月収15万8千円以下)には、月額最大4万円の家賃補助や、契約の際に必要な家賃の債務保証料を最大6万円まで助成する▼高齢者の生活支援などを行っているNPO法人などを自治体が「居住支援法人」に指定し、住宅情報の提供や見守りサービスの紹介、家賃の債務保証などの支援を実施。また、登録住宅として活用される空き家には、耐震改修やバリアフリーなどを行う場合、1戸当たり最大200万円の助成金が支給される▼2015年には593万世帯であった65歳以上の単身者世帯が、2035年には762万世帯に増加するという。生活保護受給は160万世帯を超えているが、その約5割が借家住まいであり、それに対して貸し手の6割が入居に拒否感をもっているという調査結果もある。制度はスタートしたばかりだが、自治体は積極的なPRを行い、実効あるものにしてほしい。(良穂)[2017/12/13]