茶飲み話[96]

 安倍総理と麻生副総理の気持ちを「私が忖度して新年度予算で国直轄の調査計画に引き上げた」と発言して問題視されていた塚田一郎国交副大臣が5日、辞任した。表向きの理由は「行政への信頼を損ね、国政を停滞させた」としているが、統一地方選挙や参議院選挙などへの影響を懸念する自民党内の声や、問題の幕引きを急ぎたい政権幹部の意向を忖度したのだろう▼塚田氏は国会で「大勢が集まる会なので、われを忘れて事実と違う発言をした」などと釈明していた。それでは大勢の前で嘘をついたのか。それならそれで大問題だが、内容があまりにもリアルで、嘘や作り話とはとても思えない。以下は演説の概要である▼冒頭塚田氏は(自分は)筋金入りの麻生派であることを強調し、「国土交通副大臣ですから、ちょっとだけ仕事の話をさせていただきますが、大家敏志さん(福岡県選出の自民党参議員)がですね、私のもうひとり逆らえない吉田博美さんという参議院の幹事長と一緒に、副大臣室にアポを取って来られました。『地元の要望がある』。これが下関北九州道路です▼下関と北九州ですよ。下関は誰の地盤ですか、安倍晋三総理です。安倍総理から麻生副総理の地元でもある北九州への道路事業が止まっているわけです。吉田幹事長が私の顔を見たら、『塚田、わかってる? これは総理と副総理の地元の事業なんだよ。俺が何で来たかわかるか』と▼私、すごく物わかりがいいんです。すぐ忖度します。わかりましたと。そりゃ総理とか副総理はそんなこと言えません。地元の、そんなことを。森友とかいろいろ言われていますけど、私は忖度します▼それでですね、この事業を再スタートするためには、いったん国で調査を引き取らせていただくということになりまして、これを、新年度の予算に国で直轄の調査計画に引き上げました。」――▼これが作り話だったのなら、塚田氏は作家としての能力も巧みである。加計問題で安倍総理は「私から指示を受けたという方はひとりもいない」と主張していたが、複数の官邸スタッフが蠢き、「総理のご意向」「首相案件」などというだけで事が進んでいる。今回も同様の構図である。塚田氏の「忖度辞任」で肩透かしを食らった格好のバラバラ野党、安倍政権追及の次なる一手は・・・?(良穂)[2019/4/6]