茶飲み話[114] 読書=濫読のすすめ
この欄の執筆を三役会議のメンバーでと決めてから若干気になってはいたのだが、まず会長のコラムが掲載された。次は事務局長だろうと思ったが、念のため確認の電話を入れたところ、「次はあなたよ」とのこと。「えー、何を書けばいいんだ」と思わず漏らしたら、間髪を入れず「本を読むのが好きと聞いているからそれではどう?1月末でいいから」
たしかに本を読むのは子供の時から好きだった。
「電柱に括り付けているのと同じ」とは、隣のおばさんの私の子守り風景への評。私が、弟を負ぶって本を読んでいる。弟が泣こうが喚こうがと言うのである。そんなにひどくはないと思うのだが。
といっても文学少年などでは全くない。相撲や野球で遊んでいるのが断然多い。読んでいたのは「おもしろブック」(?)などの少年雑誌だったろう。ともかく“茶飲み話”である。まさか、長い読書遍歴を話しているわけにはいかない。
大相撲が大変な盛り上がりを見せている。スポーツ観戦は大好き。何しろ、栃若時代からのフアンだ。鍛えられた肉体がぶつかり合う、真剣勝負は素晴らしい。二横綱の途中休場にもかかわらず、いや、それ故か遠藤、炎鵬、北勝富士、正代などが、さらに出遅れた朝乃山も頑張っている
これは近頃はまっている飯嶋和一の著作の一つ『雷電本紀』の出番だと思った。江戸後期、寛政から文化の時代、谷風や小野川とともに、江戸相撲の人気を決定的なもので、相撲を現代まで持続させた「伝説の雷電」の物語である。
ところが、劇的な徳勝龍の幕尻優勝が決まった日曜日、書店から「本が届きました」と知らせが入った。
兵藤 釗先生の『戦後史を生きる―労働問題研究私史』である。実は、不勉強にも先生の名前は聞いたことがある程度。新聞の書評で「大河内一男先生の門下生、戦後の労働問題研究の現場、国鉄などに携わられた」との紹介であった。
大河内先生といえば、全電通が公労委の一括賃金決定からの脱却、団体交渉権、自主決定権の実現のため、協力をお願いし「電気通信産業賃金研究会」の座長を引き受けていただいた。研究会には氏原先生、白井先生、高梨先生、神代先生、津田先生の6人に参加していただき、これが公社制度改革のステップの一つとなった。
労働組合の最大の課題、現場の活動と団体交渉の充実、これを全電通で生き生きと機能させようとしていた時代の話である。
それで兵藤先生は・・・こんな調子で、私の濫読は続いている。
退職者連合副会長 石原喜久