茶飲み話[119]「新型コロナ感染拡大で見えたこと・・」

 1月に武漢で新型コロナウイルスが発生したというニュースを聞いた時は、他人事だった。それがあっという間にパンデミックになり、わたしの日々の暮らしも変わった。
4月の緊急事態宣言後は、家で新聞やTVニュースを見て、過ごしていた。感染者や病院関係者への偏見や差別、そして自粛警察という動きを聞いて、息苦しく暗い気持ちになった。今まで自由に出かけ、友人と話したり、飲んだり、囲碁に行っていた日常がどんなに大切か、そして愛おしいものだったか実感した。
 新聞を読むと、コロナ感染拡大で暮らしが成り立たなくなり、命を脅かされてしまう人たちの現実があった。現役の時、職場の定時制高校には、給食が貴重な栄養源だった生徒や臨時職員の給食調理員さんたちがいた。また母子家庭も多く、家庭訪問をすると疲れ切った母親もいた。仕事をしている生徒はアルバイトでサービス業が多かった。外国人や障害を持っている生徒もいた。彼ら・彼女たちは仕事があるのだろうか?仕事がなくなったら休業補償はあるのだろうか?と思っていた。
 また、この感染拡大が女性たちに与えた影響も気になった。仕事を休んだ保護者に支給される休業補償金が風俗業界で働く女性には最初支給されなかったが、抗議により、支給されることになった。性風俗で女性が搾取されている現実はあるが、職業差別であり、更に搾取するのかと思った。
 また「DVが増加している」と橋本聖子内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)の記者会見があったにもかかわらず特別定額給付金10万円は「世帯主」へ給付された。家庭の中でDVを受け、自粛で外出できない女性は受け取れないことがわからないのだろうか?
 そして女性にとって「ステイホーム」は家で優雅に犬を抱いたり、本を読むことではなかった。切れ目のない子供の世話や家事などの膨大な「無償労働」を担った上でのテレワークだった。
 新型コロナウイルスで、改めて私たちの社会の不十分さを気づかされた。政治家には誠実であってほしいし、私は、気が付いたことを変えていきたいと思った。

退職者連合常任幹事 本村富美子