日本で唯一雨水のみで耕作を行っている天水田・「大山千枚田」(棚田)の保全に取り組む
(今回のお達者さん)
千葉県農水省退職者の会 会長
石井 一雄さん(74歳)
石井さんは、房総半島南東部に位置する千葉県鴨川市で多くの役職を担い、地域の活性化などに取り組んでいます。
Q.プロフィールをお聞かせください。
千葉県鴨川市(安房郡吉尾村)に1943年7月に生まれました。満74歳です。農水省を2004年に退職し、2008年から千葉農水退副会長、2014年から会長を務めています。また、
地滑り管理組合の組合長や地元のお寺の総代長を務めています。
Q.棚田保全の活動に参加されているとのことですが。
「大山千枚田」の保全に中山間地域等活性化協議会会長として取り組んでいます。ここは東京から一番近い棚田として知られ、鴨川市の山並みのふもと約4ヘクタールの急傾斜地に階段のように連なる大小375枚の田んぼです。
日本で唯一雨水のみで耕作を行っている天水田で、動植物も貴重なものが多く生息し、洪水などの災害防止にも役立っています。維持管理に関しては、現職の時以来、「中山間地域等直接支払制度」を活用してきました。
Q.農水省「日本の棚田百選」に認定されているんですね。
1999年に認定を受けました。また、同じように棚田の維持で頑張っている皆さんでつくった「全国棚田連絡協議会」に加入しています。この協議会は、毎年「棚田サミット」を開催していて、昨年は長崎県波佐見町で開かれ、参加してきました。今年は長野県小谷村で開かれます。棚田や地域を守っている全国の仲間と交流するととても元気になります。
Q.現在の農政についてはどう感じておられますか。
全国いたるところで農地が荒廃している状況をよく考えるべきです。政府トップは「農業こそ国の基」と叫んでいますが、情けないです。本当に農業者のことを考えているのかと言いたいですね。効率化と規模拡大のみでは農地は守れません。
Q.現在の政治はいかがですか。
自己の利益のみを追求する姿勢が顕著ですね。スケールの大きな政治家が生まれればいいなと思います。一方、有権者も「選ぶ権利」を自覚することが求められます。
Q.農水省退職者の会の課題などお聞かせください。
当県も会員の高齢化や減少が止まらず、組織の維持が大きな課題です。現役の皆さんと連絡を密にして加入活動に取り組んでいますが、再任用の関わりもあり難しいのが現状です。一方、会長として各支会総会に招かれ、先輩や同期生などと会うのが楽しいです。会の運営は、お互いに「気楽」をモットーに「親睦」に力を入れています。
Q.ご趣味は?
若い頃から夢中になった「皐月」に退職後もとりつかれ、現在100鉢ほど楽しんでいます。秘湯巡りも楽しみ、栃木県の奥鬼怒温泉などで体を癒やしています。
Q.健康面で気をつけていることは?
「早寝早起き病知らず」を実践し、暗くなると休み、明るくなると起きる習慣が身についています。お陰で大病もせず、かかりつけの病院もありません。また、毎日の適度(?)な飲酒が健康の原点ですね。
農水退 事務局長 花村 靖
(「農水OBだより」2018/3/15第472号より転載)