河合谷高原の大根

 鳥取県の東端、兵庫県との県境に接する標高1100メートルに広がる河合谷高原。その山頂に約4ヘクタールもの大根畑が広がっています。生産に汗を流すのは、藤田栄一郎さん(64歳)です。
 河合谷高原で大根づくり事業が始まったのは1979年ごろ。地元行政の肝いりでスタートしましたが、思わしく進まず、生産者が次々にリタイア。現在は、藤田さん夫婦だけで広大な畑を相手にしています。

河合谷高原に広がる大根畑。

河合谷高原に広がる大根畑。

 冬は雪に閉ざされますが、雪解けを待って、畝の手入れや収穫時期を調整しながら種まきが始まり、8~10月の収穫期には3万本の大根を近隣の直売所に出荷します。
 きめ細かく、上品な辛みとみずみずしさが特徴の「高原だいこん」。藤田さんの心がこもった産品に固定ファンも増え、料理店からの引き合いもあるそうです。

50歳で転職

 きっかけは、たまたま訪れた高原の自然に魅せられたことから始まりました。これからの自分を生かす道筋を探し始めていたことも手伝って、思案のあげく、50歳で転身を決意し、NTTを退職。以来、15年近くの歳月が流れます。
 現在は、栄一郎さんが生産を、妻の信子さんが毎日の配達や販売関係を受け持ち、二人三脚の日々です。販売店から頼りにされているため、土・日曜日も休むことができない。それでも、「やっと自信を持てるようになったのは、ここ3~4年」と言います。

いきいきライフ

 眼下には日本海が広がり、耕作地の隅に作った作業小屋に泊まり込んで見る夕日や漁火、満天の星空はまさに大自然満喫のひと時。時には手づくりの設備で仲間とバーべキューを楽しむことも。
 とはいえ、毎日、自宅から片道42キロの曲がりくねった林道を一時間以上かけての往復や、作業の厳しさは想像をはるかに超えるものに違いありません。しかし、悪戦苦闘を屈託なく話すご夫婦の笑顔は、まさに「いきいきライフ」を感じさせてくれました。
 現地で頂いた大根の煮付けのうまさが、今も心に残っています。

二人三脚で大根づくりに精を出す藤田栄一郎さん(左)と信子さん。

二人三脚で大根づくりに精を出す藤田栄一郎さん(左)と信子さん。

<報告者>
NTT労組退職者の会鳥取県支部協議会 
会長 安田邦夫
「NTT労組退職者の会ひろがりネット」より