「出前口座」(演劇)で高齢者の消費者被害防止を訴え

(今回のお達者さん)
林退会旭川・士別支部
森 礼三郎さん (82歳)

 

森 礼三郎さん

「オレオレ詐欺」や「還付金詐欺」などの特殊詐欺が増えています。林退会旭川・士別支部の森礼三郎さんは、「(犯人たちの)狙いの矛先が私たち高齢者ですから、他人事ではありませんよ」と、北海道士別市消費者協会の仲間15人とつくった劇団「さくら」で高齢者の消費者被害防止を訴えています。

道内で増える特殊サギ被害

「昨年、士別市で国保を名乗る男から還付金があるとして、高齢者の方がATMで現金を取られました」。また「隣の名寄市でも、長男を名乗る男に現金入りのカバンを盗まれたとしてこれも高齢者が800万円をだまし取られました」。森さんは、被害の具体的な事例を教えてくれました。
道内では次々と高齢者の消費者被害者が増えています。昨年、全国での被害は1万8,200件、総額394億円と言われています。
劇団「さくら」の出し物は、「出前講座」とも名付けられ、森さんたちは、士別市をはじめ名寄、稚内、帯広など近郊の市町も廻って被害防止を呼びかけています。1年間の出前は15カ所になります。

高齢者を前に出前講座で被害防止を呼びかける

 

舞台でのモットーは「元気に大きな声を出すこと」

主役の「田中かも太」を演じなる森さん(左)

森さんが、セリフの一部を見せてくれました。森さんは、主役の「田中かも太」という名前で、舞台に登場します。
突然、自宅の電話が鳴り、「市福祉課から還付金のATM操作を」との会話から事件に発展するケースです。
森さんは「役場や職員からATM操作指示は絶対にありません」と会場を笑わせ、感動をさせます。最近は「銀行カードを貸せ」、「暗証番号やパスワードを教えろ」という被害も出ているそうです。
舞台での森さんのモットーは「元気に大きな声を出すこと」。士別市消費者協会では、広報紙のほかに暮らしネットワーク紙で消費税や食品添加物、料理教室なども話題にします。市民への配布は、森さんたちです。
森さんと言えば、古い話ですが札幌オリンピック(昭和47年)の前年、「プレ五輪」のスキー距離競技に参加しています。その2年前の塩沢(新潟)国体では9位に入り、他の国体にも2度参加。道内五局スキーは、ベテランの選手でした。全林野時代はマラソンや野球の名捕手として活躍しました。
生涯現役の森さん、これからもいろいろ教えてください。
 

(報告)
林退会・旭川
事務局長 村山廣美