福寿草の魅力に惚れ込む
(今回のお達者さん)
新潟県農水退
金井 淳さん(47歳)
(Q)自己紹介をお願いします
金井淳(かない・あつし)、新潟県南魚沼市(旧六日町)出身の47歳です。一昨年3月末、関東農政局を最後に農水省を退職し、現在は魚沼市に住んで福寿草の栽培を行っています。
(Q)随分お若いうちに退職されたんですね。
福寿草は種をまいて花が咲くまで約5年かかります。また、新品種をつくり出すためには交配を2回繰り返して確率を高める必要があり、トータルで15年ほどかかります。自分の年齢を考えると定年退職まで待っていられませんでした。本格的に始めるために「今しかない」と決めました。
(Q)退職された後、新たに魚沼市に住んで栽培を始めたのですか。
はい。退職後、福寿草を育てるのにふさわしい所を探していたのですが、偶然、豊富な水量があって、雄大な越後駒ヶ岳(標高2003m)を仰ぎ見ることのできるこの場所(魚沼市折立又新田)に立ち寄ったんです。「ここだ」と即決し、早速住宅と農地を購入しました。ビニールハウスも建てて、現在福寿草を1500鉢ほど育てています。
また、福寿草の世話をする時期が終わると稲作に精を出します。魚沼産コシヒカリを栽培できるので、こちらも励みになります。
近所の皆さんも良い人ばかりで、ことあるごとに私に声をかけてくれ、ありがたいですね。
(Q)福寿草のどういうところに惹かれますか。
雪解けとともに開花となり、かわいらしい花が一斉に咲き誇ります。土を押しのけながら芽を出し、太陽に向かって花を広げる姿に生命力を感じます。その福寿草に囲まれ、自家受粉しないよう気をつけながら交配作業をするときが至福の瞬間ですね。病害虫が少なく育てやすいですし、交配で新しい花を作り出すことができ「5年後にどんな花を咲かせてくれるのかな」と夢が広がります。
(Q)農政や地方の課題として荒廃農地の増加が話題となっています。
一昨年の月、休耕地に福寿草の株を植え付けました。今のところ実験段階ですが、将来的には休耕地を利用した栽培や観賞用エリアの設置ができたらと考えています。また、ここは名うての豪雪地帯ですが、通常2月頃からの開花時期をこの雪を利用して遅らせることにも取り組んでいます。福寿草を求め、わざわざ来てくれる人達もいますし、春先の観光資源に結びつけばと考えています。少しでも地域の維持、活性化につなげることができればと思っています。
福寿草の栽培を通じて地域の維持や活性化も視野に入れておられるのですね。ご苦労も多いことと思いますが、是非頑張ってください。
※福寿草に興味をもたれ金井さんと連絡を取りたい方は、農水省退職者の会
事務局までご連絡ください。
農水退 事務局長 花村 靖
(「農水OBだより」2018/1/1第470号より転載②聞き手花村事務局長)