「玉すだれ」「浪曲奇術」「一口にわか」。持ち芸でボランティア

<今回のお達者さん>
福岡県・八女市
川口 保さん(67歳)
(NTT労退・福岡県支部協)

きっかけは後輩との話から

浪曲奇術を演じる川口さん

浪曲奇術を演じる川口さん

個人で、地域の公民館やデイサービスセンターなどで、「南京玉すだれ」「浪曲奇術」「ひとくちにわか」など、大道芸を披露するボランティアをしています。
現役時代の50代後半、居酒屋で南京玉すだれを習っている後輩とボランティアの話で盛り上がり、酒の勢いもあって60の手習いで南京玉すだれを習い始めたのが大きなきっかけでした。
それから1年間、月1回仕事帰りに2時間ほど博多の大道芸人「長州&おとめ」の先生に芸の手ほどきを受けました。
現在は、インターネットやYouTubeを見ながら独学で芸を学び、どうやったらお客さんに喜んでもらえるか、笑ってもらえるかを考えながら自分なりにアレンジして披露しています。
練習は、自室で一人ひっそり?と行なっていますが、ボランティア当日が近づくとお客さんに見立てて、孫たちに披露することもあります。

お客さんの喜ぶ顔が励み

「浪曲奇術」は、浪花節(なにわぶし)を語りながら、手品を披露する芸です。先生からいただいた浪曲のテープを流し、口パクでいかにも自分が浪花節を語っているかのように身ぶり手ぶりを加えて、頭を振るなど大げさな動作で真似をします。
特に、手品は人気で皆さん大盛り上がりになります。でも、最後にタネあかしをするため同じ場所で同じ手品はできません。それでも「同じ手品でもいいからまた見たい。また来てほしい」との声もいただきます。「先生!」とおだてられ、つい再度の来園を約束してしまいます。
デイサービスセンターでは、入所者と看護師さんが一緒になって喜んでくれます。また、敬老会で、「いつもは一人暮らしなので、今日ほど声を出したり笑ったりしたのは久しぶり。ありがとう!」と感謝された時などは、とれもうれしかったですね。 自分の芸の未熟さも忘れ、披露してよかったと思う瞬間です。

敬老会で南京玉すだれを披露。「いつもは一人暮らしなので、今日ほど声を出したり笑ったりしたのは久しぶり。ありがとう!」と感謝された。

敬老会で南京玉すだれを披露。
「いつもは一人暮らしなので、今日ほど声を出したり笑ったりしたのは久しぶり。ありがとう!」
と感謝された。

「一人で1時間楽しませる」ために

口上を覚え忘れないように努力することが、脳の活性化にも役にも立っています。新聞や雑誌などにおもしろい川柳や文言が載っていると「芸の中で使えるかも」とメモを取ります。また現在は、カードマジックのレッスン用DVDを見ながら披露に向けて勉強中です。
長く続けられているのも、家族の理解があってこそです。声をあげての練習や着物やピンマイクなどの音響設備、小道具の購入なども「地域の皆さんが喜ぶなら」と温かく見守ってくれています。
目標は、「一人で、1時間、皆さんを楽しませること」です。今後は、過疎化が進んでいる小さな集落のサロンなどにも積極的に参加したいと思っています。

(NTT労組退職者の会・福岡県支部協『いきいきふくおか』1月1日号より)