合唱を通じて元気に「仲間づくり、生きがいづくり」

(報 告)
札退教合唱サークル「睦」
山家 康夫

会の名前は「睦(むつみ)」

札退教(札幌市退職教職員協議会)の合唱サークルは、1990年に結成されました。きっかけは、当時札教組(札幌市教職員組合)が主催し年1回開いていた音楽会への出演グループが少なくなり、「退職していた私たちが若い人たちの手助けになれば・・・」と合唱グループで参加したことからです。合唱を通じて私たちは、退職者の仲間づくりに多いに役立つこと、文化活動として精神的にも非常に大切なものであることを知りました。お陰で会の活動は、現在も元気に続いています。
会の名称は、結成から5年後の1995年に決まりました。会員が「むつまじく活動する」ことを第一に「合唱するときだけでなく、広く社会の基本にあってほしい」との願いをこめて「睦」(むつみ)と付けられました。

平均年齢82歳、あふれる女性パワー。

合唱サークル「睦」の会長は武田郁子さん83歳。現在のメンバーは約50人です。ただし私たちは高齢ですので、ケガ(特に北海道の冬は道路が凍って転倒しやすい)をされる方、病気で休まれる方、認知症で参加できなくなる方、さらに亡くなられる方もおられ、高齢者特有の変動があります。
会員の最高齢は90歳近い方です。平均年齢は約82歳で、札幌市では最高齢の合唱グループです。男女の内訳ですが、男性は女性の5分の1ほどです。ただし女性はソプラノとアルトに分かれて歌いますので合唱のバランスはとても良いです。
会の練習は月2回、第2週と第4週の金曜日午後1時30分からです。発声練習を含めて約2時間で、これを26年間続けてきました。この練習の積み重ねが「睦」の財産です。定期練習の会場は、札幌市内のクリスチャンセンター礼拝堂をお借りしていますが、音響も広さも全く申し分ありません。

自分たちのコンサートも開催する「睦」のみなさん。結成から27年、今年も元気に合唱を続けている。

自分たちのコンサートも開催する「睦」のみなさん。結成から27年、今年も元気に合唱を続けている。

札幌市民合唱祭で奨励賞を受ける

活動では、毎年必ず参加しているのは札幌市民合唱祭(10月)、札教組音楽会(2月)、札退教総会での新入会員歓迎会(5月)です。独自のコンサートは数年ごとに開催してきました。当然その年の練習はきつくなりますが、緊張感と成し遂げた喜びが私たちの生きる力になっています。最近では2015年6月に第5回目のコンサートを開き、2016年9月には北海道退職者連合の高齢者集会で合唱させていただきました。過去には、札幌市内の2つの合唱団とジョイントコンサート(1999年7月)を開いたり、2005年から4年間は高齢者病院を訪問して合唱したこともあります。2015年10月に開かれた札幌市民合唱祭では、「奨励賞」を頂きました。17年間継続してこの合唱祭に参加してきもしたので、その努力賞ということでした。これには会員全員が感激しました。いただいた賞状とトロフィーは、札退教の事務所に飾られています。

教え子や孫たちの応援も元気の源

毎回のコンサートには、かつての教え子たちが駆けつけて応援してくれます。退職した教職員にとってこんな嬉しいことはありません。会員のお子さんたちやお孫さんたちが聴きにきてくれるときも生きがいを感じます。また当然のことながら、死去された会員もいます。その時は亡くなられた方の遺影を囲んで「はるかな友に」を合唱してお送りしたこともあります。
私たちの合唱を聴いてくださる方がおられるなら、できるだけお伺いしたいと思います。その時の緊張感や楽しみが私たちの生きがいにもなり、練習の原動力になります。

健康で活動できる社会づくりへ向け頑張りたい

1990年、退職時の山家さん、当時58歳。山家さんは「睦」結成の時から活動してきた。

1990年、退職時の山家さん、当時58歳。山家さんは「睦」結成の時から活動してきた。

近年気になることがあります。定年退職した若い方が、退職者の会に参加して自己を向上させようとする意欲が少なくなっているのではないか、ということです。百年は完璧などと言っていた年金制度の変化など、将来が見通せなくなってきて、夢や希望の持てない生活になっているのではないか。ぜひ若い退職者が未来に希望を持ち、健康で活動できる社会になるよう「睦」は、頑張りたいです。