【茨城県】大道芸「筑波山がまの油売り口上」で“元気興し”
「さあさ、御立ち合い!」で始まる“がまの油売り”と言えば筑波山の名物行事です。「がまの油売り口上」の起こりはその昔、江戸時代の中頃に筑波山麓に住んでいた永井兵助という人が、霊山・筑波山でしか捕獲できない「四六のガマ」と呼ばれる霊力を持ったガマガエルを鏡張りの箱の中に入れ、ガマが流した脂汗を取り出して加工したものを“何にでもよく効く陣中膏”だと言って、口上よろしく浅草界隈で売りさばいた、というのが始まりといわれています。
永井兵助は、常陸国筑波郡永井村(現在の茨城県土浦市永井)の出身と伝えられています。ちなみに永井村は、私の家から6キロのところに位置しています。私が、がまの油売り口上と出会ったのは、中学2年生の時です。ボランティア養成の研修会に参加したのがきっかけでした。
研修の中でがまの油売りを実演した口上師の第18代永井兵助の岡野寛人氏(故人)の話によると、当時、一世を風靡した永井兵助が、私と同郷であることを知り、大いに興味を持ちました。翌年、中学3年生になると同時に第18代永井兵助のもとに入門し、指導を受けました。
その後、地元の新治村役場に就職した私は、企画や観光、教育部門などを担当する傍ら、自称「茨城の広告塔」として、首都圏を中心にがまの油売り口上を披露しながら、茨城県の観光PR活動に数多く協力してきました。またその間に自治労新治村職の委員長も務めました。平成18年新治村は土浦市と合併。同25年3月に土浦市役所を定年退職しました。
私は、この郷土芸能「筑波山がまの油売り口上」(大道芸・平賀源内流)を伝承して、各地で開かれるイベントや行事に参加し、実演や講演などの活動をしています。平成元年には、平賀源内流第15代名人ゑびす屋兵助を襲名しました。また平成12年には、「筑波山がまの油売り口上研究会」を設立。会では、毎年入門編として、がまの油売り口上講座(定員40人)を38年にわたってボランティアで開催しています。
最近、「ゆるキャラ」ブームの影響か、茨城県の観光キャンペーン等PR活動への出番が少なくなったことです。これが原因かどうかわかりませんが、全国魅力度ランキングで茨城県は過去5年間のうち、4回最下位という不名誉な結果になっているのも気になります。
私は、茨城県の魅力度アップのためにも、何としても郷土芸能「筑波山がまの油売り口上」の復活をはかりたいと思っています。また、私が会長を務める「筑波山がまの油売り口上研究会」の会員のみなさんと一緒に、東日本大震災の被災地や福祉施設などへの慰問活動を通して、少しでも恩返しができればと考えています。
<報告者>
筑波山がまの油売り口上研究会
会長 林 正一
*研修会やイベントで「筑波山がまの油売り口上」の実演をご活用ください。
連絡先 TEL 029-862-3629 林正一まで