【長野県】勝敗を超えて囲碁の楽しみ知る

碁盤の上に夢求め、着手を捜す

大町囲碁祭りで、中島美絵子女子プロ棋士(左)と海野さん
大町囲碁祭りで、中島美絵子女子プロ棋士(左)と海野さん

私は現在、日本棋院長野県北信地区本部事務局長と地元の中高支部幹事長を務めています。各種囲碁大会がめじろ押しで、その裏方として気の抜けない日々を送っています。
「囲碁は人類が作ったゲームの中で最高のものである」(12代市川團十郎)、「人生に必要なものはすべて囲碁から学べると言われています。礼儀を学び、コミュニケーション能力を高め、論理的思考を養うことができます。囲碁は長い伝統を誇るすばらしいゲームです。老若男女を問わず誰とでも交流できます。支部道場では愛好者が毎日楽しんでいます。あなたもお気軽においでください」。
これは私が地元ローカル紙に掲載依頼した中高支部の会員募集広告文の一節です。
私は囲碁の持つ本当の楽しみは勝敗を超えたところにあり、碁盤の上に夢や理想を求めこの一手という着手を捜し出すこと、つまり読みを入れることにあるのではないかと思っています。そしてその着手が相手に読み勝ったときほどうれしいことはありません。
しかし、棋理は深奥幽玄の世界であり、それがまた魅力なのですが、容易なものではないのです。
最近、プロ棋士に指導碁を打ってもらいました。初めて見る手を打たれ、いいように打ち回され、負かされてしまいました。なんのことはありません。勉強不足を露呈してしまったのです。日本棋院から送られてくる雑誌や定石本など、うずたかく積んでありますが、いい加減な勉強しかしてこなかったことを思い知らされました。

一番大事な“老後の初心”

私も74歳。世間では老人の部類ですが、多少老いたとはいえ衰えたとは思いません。囲碁もこれから強くなる発展途上と思っています。限界だとは考えたくないのです。棋力は支部内では六段で通っていますが、囲碁紙の懸賞で取得した七段免状に近づきたいと思っています。
昔の教科書に「初心忘るべからず ときどきの初心忘るべからず 老後の初心忘るべからず」(世阿弥編 『花伝書』)という一節がありました。これによると老後の初心が一番大事だそうです。
これからもっと謙虚に初心を忘れず人生や囲碁に立ち向かっていきましょう。ひょっとしたらまだ花だって咲くかもしれないから。

日本将院NTT長野支部の仲間と(後列左端が海野さん)
日本将院NTT長野支部の仲間と(後列左端が海野さん)

<報告者>
NTT労組退職者の会長野県支部協議会
海野 信司
「NTT労組退職者の会ひろがりネット」より