東京高退連 “認知症の現状と課題”を学ぶ全体学習会開く
「知って安心認知症」
東京高退連では、毎年「介護保険自治体実態調査」を7月から8月に実施し、9月にまとめ、10月の定期総会で報告する取り組みを行っています。今年も実態調査を実施しているところです。この取り組みの前段として、6月12日午後2時半から、都内・港区にある田町交通ビル5階会議室で「知って安心認知症」と題して、認知症の現状と課題を学ぶ全体学習会を開催しました。
20年後には都内の患者65万人
高齢者の消息・行方不明などで認知症は、マスコミ等で大きく報じられ社会問題になっています。現在、都内の認知症患者は38万人を超え、2035年には65万人(65歳以上の5人に1人の割合)になると推定されています。会員123人が参加した勉強会は、認知症を身近な問題としてとらえ、考えていくいい機会となりました。
ベテラン先生が明かす“認知症とは”
今回の勉強会では、現場で患者さんを実際に診察されている北区医師会副会長で、北区のサポート医でもある河村雅明先生を講師にお招きしました。河村先生は開業医のため移動時間を含め、90分という限られた時間内でのお話となり、内容の濃い講義となりました。
河村先生は、①認知症は誰でもかかる可能性がある病気であること、②認知症とは、脳の細胞が傷ついたり、働きが悪くなることで、認知機能が低下すること、③具体的には、記憶障害、判断力低下、見当識障害、言語障害(失語)、失行(それまでやれたことができなくなる)など、様々な生活のしづらさがあらわれる状態を指すと解説。
(1)症状としては、
①変なことを言うようになる
②周囲のことに気づきにくくなる
③今日の日付が言えなくなる
(2)さらに家族が気づいた認知症高齢者の生活の変化として、
①同じことを何回も言ったり聞いたりする
②だらしなくなる
③置き忘れ、しまい忘れが目立つ
④物の名前が出てこない
⑤ささいなことで怒りっぽくなる
⑥夜中に急に起き出して騒ぐ
などがあることを紹介しました。
認知症予防“4つの対策”
さらに認知症予防として河村先生は、①食生活に気をつけること、②適度な運動をすること、③生活を楽しむこと、④人と積極的に交流することの4つが大事と指摘。
ただし認知症は基本的には治らないため、自分や周りの人が一刻も早く気づき、進行を遅らせることが必要であり、「今後の生活の準備をする・症状の進行を遅らせるための努力をする」ことが日頃からの認知症対策として大切だと、先生はお話をまとめました。