年金、医療・介護の充実、安心で豊かな福祉社会づくりに取り組むと共に、生き甲斐づくり、社会貢献活動などを地域で取り組む退職者、年金生活者の組織です。

茶飲み話

茶飲み話 まあ、ゆったりと茶飲み話でも・・・。

 仲のいい友人や隣人とお茶をのみながら、ゆっくりとした時につつまれて交わす茶飲み話は楽しいものです。スローライフな私たちシルバーエイジの特権かも知れません。縁側で日向ぼっこをしながらいただくお茶のお供に、退職者連合のコラム「茶のみ話」で語らいに花を咲かせてはいかがでしょう。

茶飲み話[54]

 共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が15日朝、参議院本会議で自民・公明・日本維新の会などの賛成多数で可決・成立した。法務委員会審議を中途半端に打ち切って、本会議で採決するという暴挙である。マスメディアが「奇策」などと報じているが、奇策というより議会制民主主義の否定以外の何物でもない▼「無理が通れば道理が引っ込む」という。道理にかなわない不正が平気で通用するならば、道理にかなった正しいことが行われなくなるという意味である。安倍政権の周辺ではあれやこれや、こうしたことが常態になっているようだ▼今回の強行採決も、このままでは「加計学園問題」への世論や野党の追及がさらに厳しくなり、都議会議員選挙への影響や、安倍内閣への疑惑や傷口の広がりが懸念される。それを避けるため、リスク覚悟の強硬策だったとする説がもっぱらである▼加計学園問題で「総理のご意向」などとする文書を「出所不明の怪文書」と言い放ち、文書の存在を明言した前川前文科事務次官の人格まで貶める発言をしていた菅官房長官。複数の職員の証言などで風向きが変わってくると、一転して「文科省調査の結果」を盛んに強調し、責任を文科省に押し付ける▼責任を押し付けられた形の松野文科大臣。これまた官房長官の使いっ走りのように唯々諾々と従っていて、大臣としてのプライドもなければ、配下の職員を守ろうとする気概のかけらさえ感じられない。「卑怯・未練」とか「女々しい」という言葉は、この人たちのためにあるのかもしれない▼ちなみに「無理が通れば道理が引っ込む」にはもう一つ、「いくら道理を説いても聞き入れてもらえない場合は、黙って引っ込んでいる方が身の安全」という意味がある。幹部人事を内閣人事局に握られているため、安倍内閣からどんな不条理を押し付けられても抵抗できないのは、文科省だけではなく全省庁に及んでいるようだ▼そういえば、義家文科副大臣は「文科省の内部文書が存在すると職員が内部告発して明らかにした場合、国家公務員法(守秘義務)違反に問われる可能性がある」と、恫喝ともとれる発言をしていた。一強多弱政治による閉塞感が続く中で、共謀罪法は7月11日から施行される。(良穂)

茶飲み話[53]

 高齢者、とりわけ低所得高齢者が賃貸住宅などへの入居を断られるケースが後を絶たない▼そのため退職者連合の男女平等参画推進委員会は、政策・制度要求の中で、政府や地方自治体に対し、その速やかな改善を求め続けている。「居住の継続が困難な低所得高齢単身女性に対し優先的に公営住宅等への入居・転居を可能にすること」や、「入居時の身元保証人や身元引き受け人など家族にかわって必要な手助けを行う支援事業を推進すること」などである▼このほど、国が高齢者・低所得高齢者に空き家を紹介する制度を今年の秋からスタートさせるというマスコミ報道に接した。入居を拒まない空き家などの物件を自治体に登録してもらい、家探しに困っている高齢者らに情報提供したり、低所得の場合には家賃補助などを行う制度のようである。全国で急増している空き家の有効利用にもつながるとして国交省が力瘤を入れているようだ▼構想では、空き家の登録を受けた自治体が、業務委託しているNPO法人や社会福祉法人を通じて入居希望者の募集などを行い、入居を断られることの多い高齢者・低所得者のスムーズな家さがしを可能にする計画である▼高齢者が住みやすくするために空き家を改修する場合には、所有者に最高200万円の補助。入居者が低所得である場合には家賃を最高月4万円補助するほか、滞納した場合の債務保証料も最高6万円補助するという▼とにかく使い勝手の良い制度にしてほしいものだが、詳細は不明である。しかし、運動を続けてきた男女平等参画推進委員会にとっては一つの朗報であるに違いない。「終(つい)の棲家」の問題だけでなく「孤独死」の問題などもあり、低所得高齢者の問題はいまや見過ごしにできない社会的課題である。さらに運動を前進させ、「誰もが安心して老いることのできる社会」「生き生きと安心して暮らせる社会」にしたいものだ。(良穂)

茶飲み話[52]

 安倍政権がなんとも胡散(うさん)臭い。森友学園への国有地格安払い下げをめぐる疑惑も晴れぬ間に、今度は加計学園問題である。安倍総理の“腹心の友”が理事長を務める学園が、政府の国家戦略特区に指定された愛媛県今治市に新設する岡山理大の獣医学部をめぐる疑惑である。森友学園も加計学園も、直接的な利害関係者が安倍総理と極めて親しい間柄であったことから、二つ合わせて“安倍友疑惑”と揶揄されている▼いずれも国家権力の介在が疑われる内容であることから、国会でしっかりと事実解明すべきである。しかし、森友学園の方は追及する野党側の手詰まり感もあって、安倍総理も昭恵夫人も何とか逃げ切ったと思っているのだろう。過去のこととして受け止めているようで、多くの国民は消化不良状態である▼加計学園の問題も、関係者の間ではかなり前からくすぶっていた。文部科学省の事務次官を1月に退任したばかりの前川喜平氏が記者会見し、自身の在任中「総理の意向、官邸トップの意向などとする文書は本物であり、存在する」と暴露した。これに対して菅官房長官は「出所不明の怪文書」と切り捨て、松野文部科学大臣は「文書の存在は確認できなかった」と逃げ回っている▼いずれの疑惑も解明の壁になっているのは、官邸と役所が一体となって情報を隠し通していることである。さらに質(たち)が悪いのは、総理や昭恵夫人が「尊敬する人物」であったはずの森友学園の籠池前理事長や、今年1月まで官僚のトップであった前川氏を、安倍総理や菅官房長官などの官邸トップが徹底的にこき下ろし、マスコミを使って人格さえ貶(おとし)める喧伝をしていることである。“げにも恐ろしきかな国家権力”である▼この上、包み紙を変えただけの「共謀罪」の成立を許すようなことになれば、北朝鮮の弾道ミサイルにも匹敵する危険な玩具を安倍政権に持たせるようなものである。 “安倍友疑惑”を自ら晴らすこともできないこんな胡散臭い政権を、いつまでも勝手放題させておいてはならない。早いところみんなで力を合わせ、経済制裁ならぬ“政治制裁”を加えなければ・・・。(良穂)

茶飲み話[51]

 良くいえば「機を見るに敏」、悪く言うなら「悪乗り上手」。これが安倍総理の政治手法である。一昨年の国会では、中国船の領海侵犯をテコに集団自衛権行使容認を強行。今度は北朝鮮の核実験をめぐってアメリカと北朝鮮の軋轢が高まり朝鮮半島情勢が険しくなったとみるや、わが国の護衛艦によるアメリカ艦船護衛の実績づくりをさりげなく行い、その一方で憲法改正へのボルテージを上げている▼5月3日、憲法改正をめざす市民らの集会に寄せた安倍総理のビデオメッセージ。「東京オリンピックが開催される2020年の新憲法施行を目標に、改定項目として第9条1項と2項を残しつつ、3項に自衛隊を明文(化)すべきという考え方は議論に値する」と述べている。そして新憲法には「高等教育の無償化も盛り込むべき」だともいう▼憲法第9条の1項は「戦争放棄」、2項は「戦力の不保持」と「交戦権の不認」である。安倍総理は「国民の生命と財産を命がけで守ってくれている自衛隊が憲法上認知されていないのは不自然」だという。しかし第9条2項の「戦力の不保持」と「交戦権の不認」をそのままに、戦力としての自衛隊を明文化することは明らかな矛盾である。また「高等教育の無償化」は、かつて民主党政権が実現をめざしたが、自民党の反対で実現できなかった施策である▼安倍総理は、朝鮮半島情勢の成り行きと日本国内に及ぼす影響を心配する国民の心理を巧みについて、一気呵成に改憲への道筋をつけようとしているのだろう。そのためには世論の抵抗感を薄め、次の段階で「矛盾する部分」を削除する腹積もりに違いない▼もう一つ、改憲発言のボルテージを高めている背景には、共謀罪問題への議論の集中をかわし、政官あげて情報を隠している森友学園への国有地格安売却と、それに絡む総理夫人の直接・間接の関わりへの関心を逸らすなど、後半国会での議論を分散させる狙いがあるようだ。悪乗り上手な安倍総理の目論みははっきりしている。術中にはまらないようにしなければ・・・。(良穂)

茶飲み話[50]

 安倍内閣による長期政権が続く中で、国民を見くだすような閣僚の物言いや不祥事が相変わらず後を絶たない。加えて、南スーダンをめぐるPKOの問題や森友学園に対する国有地の格安売却疑惑と、安倍総理や総理夫人にかかわる「忖度(そんたく)の有無」など、政権にとって都合の悪い情報は、政・官一体となって隠し通すという異常な国会運営が続いている▼とりわけ閣僚の問題発言では、本年2月、金田勝利法務大臣(秋田2区)が「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「組織犯罪処罰法改定案」に関する野党議員の質問に対し「国会提出後に議論すべきだ」と議論を封じるかのような発言をし、翌日「不適切だった」と発言を撤回・謝罪した。3月には稲田朋美防衛大臣(福井1区)が、大阪の森友学園の訴訟問題には「一切関与していない」と主張していたが、裁判所の記録が明らかになって、これまた発言を撤回し謝罪した▼4月に入って、今村雅弘復興大臣(比例・九州ブロック)は記者会見の場で、福島第1原発事故の自主避難者の帰還について問われると「どうするかは本人の自己責任」だと答え、それを追求する記者に対して怒りをあらわに「うるさい!」「二度と出てくるな」などと発言。翌日「不適切だった」と発言を撤回・謝罪した▼山本幸三地方創生担当大臣(福岡10区)は滋賀県で開かれた地方創生に関するセミナーで講演。外国からの旅行者に対する文化財の観光案内が不十分だとしたうえで「一番のガンは文化学芸員。この連中を一掃しないと駄目だ」などと発言し、翌日「そういう意味ではなかった」などと言い訳し、謝罪している▼不祥事の極め付きは、中川俊直経済産業大臣政務官(広島4区)。週刊誌に自身の不倫問題が報道される事態となり政務官を辞任したが、妻子ある身でありながら相手の女性ともハワイで結婚式を挙げていた。しかもことの発端は、同党の前川恵衆議院議員(比例東京ブロック)との不適切な関係が相手の女性とのトラブルに発展したことからだというから恐ろしい。世の中をなめきっているこんな大臣や政務官。発言を撤回したり謝罪したり、自民党離党で済まされるような話ではない。それこそ「こんな連中を一掃しないと駄目だ」―。良穂

茶飲み話[49]

 人手不足といわれながら不安定雇用労働者の数は減らない。労働者が物扱いされ、長時間労働や休日に絡む法令違反が横行し、精神疾患者や過労死、自殺者まで出ている。こんなときだからこそ労働組合の出番なのに、残念ながら労働運動・労働組合の存在感は日々に薄れるばかり。見るに見かねてか、政府・与党が「働き方改革」を主導している▼10年余り前のことだが、知日派で知られるロンドン大学のロナルド・ドーア名誉教授が、その著書「日本型資本主義と市場主義の衝突」で、わが国の労働組合にも触れ「労働組合のリーダーは、企業の中で低い階層に属する人々の労働条件や、生活条件への影響に十分な考慮を払わないような経営陣の決定を阻止したり、引き伸ばしたりするという現実的な機能を果たすことをせず、(中略)株主の主権を回復しようとする動きを脅威と見て反応することもあまりない」と述べている。それを鵜呑みにしたつもりはなかったが、今日の状況を見れば「ほぼ的中していた」といえるだろう▼産業・企業の状態がうまく行き、労働組合がそれほど力まなくても労働条件が向上し雇用が安定していた時代から、いまは様変わりである。世界にその名轟く名門企業が上場廃止の瀬戸際にあり、外国資本に身売りした著名企業もある。職場では長年培ってきた労働・環境条件があたり前のように無視され、精神疾患者が続出し、過労死や自殺者が出ても、労働組合が率先して改革・改善に立ち上がっている姿は見えてこない▼産業構造や就業形態が変化し労働組合運営が難しくなった、高学歴化・個性化が労働者の連帯を阻害している、国際競争や同業他社との競争を口実にした経営側の攻勢に抗しきれないなどなど、労働運動・労働組合が存在感を失っている要因はいろいろあるだろう。しかし何といっても、労働運動・労働組合を業とする人たちから、「権力の不正や理不尽に対する怒りや抵抗の精神」が感じられなくなったことが大きいのではないだろうか。いつの時代でも労働運動は「社会を改革する力」であり、改革の運動は常に少数から始まることを忘れてはならない。(良穂)

茶飲み話[48]

 政府は、カジノ賭博設置の実施法策定に向けて、本格的な動きを見せている。多くの国民が最も懸念している「ギャンブル依存症対策」について、本人や家族の申告によって競馬や競艇、競輪などの公営ギャンブルとともに、パチンコ店への入場も制限することを検討している▼すでに国会内には、総務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、産業経済大臣、国土交通大臣、金融特命担当大臣、消費者及び食品安全担当特命大臣、国家公安委員長、内閣官房長官で構成する「ギャンブル依存症対策推進関係閣僚会議」が設置されている。この政府案をもとに論点整理をするのだという▼たしかにシンガポールでは、家族からの申告によってカジノ賭博場への入場制限を行っている。しかし日本政府の考え方は、パチンコを加えることで「依存症対策に本気で取り組んでいるという姿勢」をアピールするだけが狙いのようだ。警察庁所管のパチンコ業界から反発が出て“アワと消える”ことは折り込み済みなのだろう。このほかに、公営競技場内外券売場のATM(自動現金支払機)でクレジットカードで借金をするキャッシング機能の廃止も検討しているらしい▼また、全都道府県や政令市に専門治療・相談拠点を整備し、依存症相談員を配置することや、高校の保健体育で指導するため教科書にもギャンブル依存症について記載することなどを整理し、今年の夏をめどに実行に移すための工程表を策定する方針のようだ。これと並行して自民・公明の両党も、依存症対策の基本法案を協議する与党のプロジェクトチームを設置して、今193通常国会での成立を目指している▼利益が出なければ成り立たないのが商売である。入場制限などをしても、たちまち「背に腹は代えられない」ことになるのは目に見えている。人の不幸の上に成り立つ経済対策など「下の下」、邪道以外の何物でもない。(良穂)

茶飲み話[47]

 連合の旗や胸章などは、青地(ライトブルー)に赤(朱)のマークが一般的。この「連合マーク」をつくったのは全民労協である。民間連合の結成準備を進める中で、全民労協は「労働者の力合わせ」をイメージする図案を組合員から公募した。800点ほどの応募作品が寄せられ、日放労を通じて家紋や商標などを専門に扱うデザイナーにお願いし、事務局で審査したが、残念ながらその中に採用作品はなかった▼専門家にお願いしたのは全国の「家紋」、会社や商店の商標登録などとの類似を避けるためであった。応募作品の中から数点を抜き出し、最終的にはその専門家につくっていただいたのが、今日の「三つ揃い金輪」のマークである。地球の上で労働者が腕を組んでいる姿と、総評・同盟・総連合(中立労連と新産別による緩やかな連合組織)の3団体が、スクラムを組んでいる情景をデザイン化したものである▼マークが新聞などで公表されると、日を置かずして京都の住人から「わが家の家紋と同じ」だとクレームがついた。パソコンが発達していなかった頃のこと、写真を送っていただき、先の専門家に見ていただいた。その結果、家紋の方は完全な輪を組み合わせたものであり、「連合マーク」は三つの輪が完全な輪にはなっていない。いわゆる輪が繋がっていないのである。京都の方には、そのことを電話で丁寧に説明し了解していただいた▼また、準備の段階では旗の色について、山岸章副議長と山田精吾事務局長の間で激しいやり取りがあった。「新組織のさわやかなイメージを強調すべし」として「青」を主張する山岸氏、「労働運動の伝統を尊重したい」として「赤」に固執する山田氏が互いに譲らなかったのである。すったもんだの挙句、竪山利文議長の「日常使用の行動旗は青、大会などの公式行事に使う連合本旗は赤を基調にしてはどうか」の折衷案で決着をみることとなった。ちなみに、胸章や名刺などに使用するマークの色は特定しなかった。(良穂)

茶飲み話[46]

 ♪泣き虫弱虫あわてん坊 みんな気のいい奴ばかり 働く仲間の希望はひとつ 十人十色の幸福さがし ♪優しさ真心思いやり 冬の衣を吹きちぎり 働く仲間は胡蝶のように 舞って四方に幸福さがしー。民間先行による連合の結成に向けて、全民労協が組合員から公募してつくった「幸福(しあわせ)さがし」である▼200編を超える応募作品のなかから最優秀に選ばれた前川喜美春さん(電機連合所属)の詞を、演歌作詞家の大御所・星野哲郎さんに補作していただき、当時NHK全国のど自慢コンクールでピアノ伴奏をしていた黒河内和夫さんに曲をつけていただいた。♪仲間の愛が輪になって~で始まる「連合歌」とともに官民統一連合の創立大会でも「愛唱歌」として採用され、今日に至っている▼『今日わが国は、21世紀を目前にして政治、経済、社会、文化など、あらゆる領域で大きな変化に直面しています。労働運動もまた、力と政策をもって新しい運動の道を切開いていかなければなりません。連合は、大会スローガンに~平和・幸せ・道ひらく~を掲げました。それは、自由と民主主義に基づく労働運動の基本を示し、国際社会との調和の中で、人間優先の福祉社会づくりを進める決意を明らかにしたものです』―。官民統一大会で連合は、「国民のみなさんへ」と題するメッセージの中で、このように謳いあげている▼しかし、時を同じくして日本列島は、ゼネコンのみならず名のある企業や銀行さえ、何かに憑(つ)かれたかのように土地を買いあさり、カネをつぎ込んでは転がし、金色の泡のなかで舞い上がっていた。やがてバブル経済が破綻し、土地価格が暴落し始めた途端に、企業も労働組合も凍て付いたように萎縮し、連合の「人間優先の福祉社会」に向けた新しい運動も、厚い扉に閉ざされてしまった▼「幸福さがし」の作者にはそんな時代の先が見えていたのだろうか。詞は4番で次のように締めくくっている。♪遠くの白百合ほしがって そばのタンポポ忘れてる 働く仲間の幸福さがし 明日こそはが ララ合い言葉。この歌が生まれて30年、多くの労働者が夢見た「十人十色の幸福さがし」とは何だったのか。もう一度「平和・幸せ・道ひらく」―、そんなロマンあふれる労働運動がほしい。(良穂)

茶飲み話[45]

 ♪どこかに故郷の香りを乗せて 入る列車の懐かしさ 上野はおいらの心の駅だ くじけちゃならない人生は あの日ここから始まったー。上野駅の広小路口、山手線ガード下に近い一隅に「あゝ上野駅」の歌碑がある。平成13年7月に建立されたものだが、それには次のような一文が刻まれている▼『高度経済成長期の昭和30年代から40年代、金の卵と呼ばれた若者たちが地方から就職列車に乗って上野駅に降り立った。戦後、日本経済繁栄の原動力となったのがこの集団就職者といっても過言ではない。親元を離れ、夢と不安を胸に抱きながら必死に生きていた少年・少女達。彼らを支えた心の応援歌「あゝ上野駅」は、昭和39年に発表され、多くの人々に感動と勇気を与え、以後も綿々と歌い継がれている』-▼そして碑には、18番線に降り立った少年・少女たちが蒸気機関車の横を一群となって改札口に向かう姿が刻みこまれ、同じ構図の写真が焼き付けられている。詰襟の学生服やセーラー服に身を包んだその顔は、どれもみな幼顔である▼時は流れて半世紀余り。就職列車はなくなり、長野新幹線の開業に伴って18番線も廃止された。中学卒が高校卒や大学卒に、学生服、セーラー服がスーツやカジュアルに、そして幼顔がひねこびた青年の顔に変わったが、若者たちの仕事を取り巻く状況はいっそう悲惨であり深刻である▼あの朝、上野駅から関東一円に散らばっていった少年・少女たちも今では60歳代後半から70歳代。学歴社会の厚い壁に苦悶・苦闘しながらも、「まじめに働いていれば、きっといつかは報われる日が来る」と信じて生き抜いてきたそれぞれの人生▼そんな彼ら、彼女らが長い年月をかけて積み上げてきた“ささやかな幸せ”を、無策な政治の大波が翻弄している。「希望の時代から失望の時代に変わった」と指摘する向きもあるが、まじめに働き続けても“ささやかな幸せ”さえ手にすることができない社会はまともではない。(良穂)

茶飲み話[44]

 2月10日は、連合の初代事務局長・山田精吾さんの21回目の命日である。1996年(平成8年)のこの日、山田さんは宮崎市の自宅近くで自転車に乗っていて、交通事故に遭い亡くなった。65才であった。♪今日も見知らぬ町を 歩き歩きつづける 足あといっぱい仲間を訪ね あふれる喜びを抱き  ♪ふるさと離れし乙女 機場(はたば)の灯かりは暗し 救いのオルグ声高けれど 応えなき面(おもて)悲しや ▼昭和30年代の後半から40年代の初期にかけて、全繊同盟(現UAゼンセン)のオルガナイザーの間で盛んにうたわれていた「オルグの歌」である。小林旭のヒット曲「北帰行」の替え歌で、詞は何人かの仲間による合作ともいわれていたが、実際は当時10人ほどの組織オルグの中心にいた山田さんの作というのが真実である。「オルグは酒を飲め、歌をうたえ、自分の“オルグの歌”を持て」が、当時の山田さんの口癖だった▼だからというわけでもないが、そのころのオルグは実によく飲んだし、歌もうたった。全国に散らばって未組織労働者の組織化に苦闘しているオルグ、月末には東京・市ヶ谷の本部事務所に帰ってくる。夕方、情報交換や打ち合わせが終われば、全員で繰り出す先はいつも決まって渋谷か新橋、新宿などのガード下。曲尺(カネジャク)形のカウンターに、椅子の数より多い頭数で押しかけ、頭上を電車が通るたびに体もコップも揺らしながら安酒を酌み交わし、高唱する。カラオケもなければ伴奏もない。はやり歌あり民謡あり、みんなが知っている歌を競い合うようにして声を張り上げる。苦労を共にしている“同志”を実感するひと時である▼やがて誰からともなく肩を組み、「オルグの歌」の全員合唱が繰り返されるころになれば終電の時刻・・・。翌朝、オルグたちは大きなバッグを肩にかけ、再びそれぞれの地に散って行く。今日も見知らぬ町を 歩き歩きつづける 足あといっぱい仲間を訪ね あふれる喜びを抱き~。労働運動が低迷気味の昨今、山田さんの歌声が聞こえてくるような気がする。(良穂)

茶飲み話[43]

 「保護なめんなよ」「我々は正義だ」「不当な利益を得るために我々をだまそうとするならば、あえて言おうカスであると」―。暴力団員の啖呵でもなければチンピラの捨て台詞でもない。小田原市の「生活保護悪撲滅チーム」とやらが、こうした内容を英語書きしたジャンパーを着用して生活保護受給家庭などを訪問していた▼10年ほど前、保護を打ち切られた男に、市の職員がカッターナイフで切りつけられたことから、「不正受給を許さない連帯意識向上」のために作ったという。マスコミ報道を受けて小田原市の市長は、「配慮を欠いた不適切な行為であり、許されるものではない」とお詫びのコメントを発表したが、こうした文言が書かれていたのはジャンパーだけではなかった。ボールペンやマグカップ、携帯ストラップやシャツなど8つの関連物品を製作していたことが判明した▼もともと市の担当者たちの頭の中には、「生活保護受給者は社会の落ちこぼれ」という差別意識が潜んではいなかったか。雇用・労働法制が緩和・改悪され、不安定雇用と低賃金労働者が激増し、貧富の格差が拡大しているなかで、「保護費を支給してやる」といった「お上意識」がありはしなかったか。これは単に小田原市だけの問題ではない。報道に接して、なぜか少年のころに読んだ島崎藤村の「破戒」を思い出した▼『被差別村出身の青年・瀬川丑松は、素性を隠せという父親の戒めを守りつつ学校教師になった。しかし、自分の出自を隠さなければ生きていけない社会の不合理に煩悶する。「我は穢多(エタ)なり」と、素性を明かして偏見や差別と闘っていた先輩の猪子蓮太郎が、やがて非業の死を遂げる。それをきっかけに丑松は、生徒たちの前で告白するが、周りの人びとから猜疑の目で見られるようになったことなどから恋人とも別れ、新天地を求めてテキサスに旅立っていく』―。▼昨年度の生活保護受給者は163万5000世帯214万5000人。65歳以上が半数を超えており、受給者はここ10年、毎年記録更新し続けている。貧困は間違いなく政治の責任である。といっても、お上意識の役人や政治家に、日々の暮らしが「破戒」ならぬ「破壊」されて苦しむ人びとの気持など、所詮、分かりはしないか。(良穂)

茶飲み話[42]

 浜の真砂(まさご)は尽きるとも 世に盗人(ぬすっと)の 種は尽きまじ――。「たとえ海辺に無数にある砂がなくなるようなことがあったとしても、世の中に泥棒がいなくなるようなことはないだろう」という意味である。文禄3年に豊臣秀吉の手勢によって捕らえられ、京都三条河原で一族もろとも釜茹での刑に処された盗賊の首長・石川五右衛門の辞世の句といわれる▼このほど警察庁がまとめた2016年度の特殊詐欺事件による被害総額は406億3000万円で、前年比75億6800万円、率にして15.7%の減少だったという。「オレオレ詐欺」などの大口被害が5%減の166億円で7年連続の減少。パソコンやスマホをツールにした「架空請求詐欺」も16%、158億円減少している▼これについて警察庁は、「だまされた振り作戦での摘発や宅配便対策などの強化で、犯人側がリスクを回避しての結果ではないか」と分析している。しかし、2014年の565億円余りをピークに2年連続で減少したとはいえ、406億円といえば「とてつもない金額」であり、まだまだ高水準で推移していることに議論の余地はない▼オレオレや架空請求が減っているなかで、急増しているのが市役所などの担当職員になりすましての「還付金詐欺」。税金や医療費など取りすぎた分を払戻すなどの口実で、高齢者をATM(現金自動預払機)に誘導して現金を振り込ませる手口である。還付金詐欺被害は前年比67%、43億円も増え、件数でも55%、3682件も増えている▼相変わらず被害者の多くは65歳以上の高齢者(?)で、400万人増の1万1041件人、全体の8割近くに及んでいる。退職者連合は2013年から警視庁が進めている「特殊詐欺根絶アクションプログラム」に参加し、学習会などを行って啓発運動に取り組んでいる。特殊詐欺や悪質商法を業とする輩は知恵を絞って次つぎと新しい手を打ってくる。こちらも手をこまねいてはいられない。(良穂)

茶飲み話[41]

 現政権によって立憲主義の理念が踏みにじられている。立憲主義とは、国家権力の暴走で個人の自由や権利が奪われることがないよう、憲法によって政府の権力を制限する考え方である。そうした憲法の理念が、安倍政権の誕生以来、ことごとくないがしろにされている。昨年末の臨時国会でのカジノ賭博合法化法案を成立させるためだけで国会を再延長したことなどもその一つである。そしていままた政府・与党は、第193通常国会に「共謀罪」を盛り込んだ「組織犯罪処罰法改正案」を提案するとしている▼03年5月に国際組織犯罪防止条約を締結することが国会で承認されたが、その後国内法の整備が進んでいないため締結には至っておらず、世界187ヵ国が締結し、G8国では日本だけが未締結だという。安倍総理は「このままでは2020年のオリンピック・パラリンピックが開催できない」と言い、1999年に制定された「組織犯罪処罰法」を「テロ等組織犯罪準備罪」と呼称を変えて、何としても成立させると意気込んでいる▼しかし「共謀罪」は「国家権力の暴走によって奪われる国民の権利や自由を侵害する恐れがある」として、かつて3回廃案の憂き目に遭っている。だから政府は、例えば暴力団による組織的な殺傷事犯や悪徳商法のような組織的詐欺事犯、暴力団の縄張り獲得のための暴力事犯等共謀行為に限り処罰するということであって、国民の一般的な日常生活の行為が対象になることはあり得ないと説明している▼しかし、法律はいったん出来てしまえば、それを執行する者のさじ加減でいくらでも伸縮することをわれわれは多くの経験で知っている。対象をしっかりと限定しなければ特定秘密保護法などとと結びついて捜査権の乱用となり、盗聴や不当な職務尋問など、日本国憲法が保障する思想・信条や表現の自由、基本的人権の侵害にまで拡がるであろうことは目に見えている▼安倍政権は米国のトランプ大統領の虚言・迷言が日本に及ぼす悪影響を懸念しているが、われわれは、安倍政権の政治姿勢がもたらす国民生活への悪影響の方がもっともっと心配でならない。(良穂)
 

茶飲み話[40]

 「大山鳴動して鼠一匹」という▼大きな山が音を響かせて揺れ動くので大噴火でも起こるのかと思いきや、小さな鼠が一匹チョロチョロと出てきたという意味で、大騒ぎした割には何のこともなかった場合などに使われる。先ごろ行われた安倍総理とロシアのプーチン大統領による首脳会談、日本側にとってはまさに「大山鳴動して鼠一匹」だった▼安倍総理はプーチン大統領を地元山口県長門市の温泉旅館に招いて会談した。「個人的な信頼関係を築いた」と自負する安倍総理、経済協力をテコに領土問題を動かし、悲願の平和条約締結に道筋をつけたい考えだったのだろう。これについて、長年ロシア(旧ソ連)関係に携わってきた元国会議員の鈴木宗男氏は、あちこちのテレビに出演し、1956年の日ソ共同宣言にある「平和条約締結後に歯舞諸島、色丹島の引き渡しをスタートラインとして具体的な協議に入ることができれば合格だ」とまくしたてていた▼しかし、プーチン大統領は到着予定を2時間40分も遅れたうえ、3時間10分にも及ぶ安倍総理との首脳会談では、肝心の北方領土については何ら譲歩の姿勢は見せなかったようだ。会談後の記者会見で安倍総理は「4島における特別な制度の下での共同経済活動について交渉を開始することに合意した」として、それが「平和条約締結に向けた一歩になる」と強調した。しかし、これについてもプーチン大統領は「ロシアの主権の下での経済協力」を譲らず、「平和条約締結に向けた一歩」になるというのは、どうも安倍総理の「勝手読み」のようである▼結局、日露首脳会談は、功を焦る安倍総理の独りよがりだけが空回りし、経済協力の約束を食い逃げされた形で目新しい成果は何も望めなかったということではなかったのか。それにつけても「ファーストネームで呼び合う仲」を強調していた安倍総理が、記者会見の場で「ウラジミール」と呼びかけるのに対してプーチン大統領は、終始「アベ」をくりかえしていたのは滑稽というほかない。(良穂)

茶飲み話[39]

 蟷螂(とうろう)の斧(おの)という。蟷螂とはカマキリのことで、「実力のないものがやたらと憤慨して悔しがり、いきり立つ」ことや、「自分の力量をかえりみず相手に立ち向かっていく」ことなどをいう。カマキリは進むことしか知らず、退くことを知らない。そんなことから、はかない抵抗を意味する言葉として使われることが多い▼いま国会は、自民党と公明党の連立政権で衆議院、参議院ともに圧倒的多数を占めている。加えて日本維新の会などが与党にすり寄り、憲法改正の発議要件である衆・参それぞれの3分の2以上の勢力を占めている。だから政府・与党、とりわけ自民党がその気になれば、民進党などがいくら「慎重審議」を求めても一顧だにしない。カジノ賭博合法化を含むIR法案を巡る一連の動きがその典型といえよう。その結果、関係委員会などでは数人の野党議員が委員長席を取り囲み、「強行採決反対!」などと叫んで乱闘まがいのパフォーマンスを繰り広げる▼蟷螂の斧も、古くは「蟷螂斧を以って降車にあたる」とか「蟷螂車轍に当たる」というように、勇気ある行動の喩(たとえ)として使われていたようだ。しかし今日の与野党の攻防を見る限り、そんな喩にはつながらない。新聞の見出しには「与野党厳しく対立」、「野党が激しく抵抗」などの活字が躍るが、その実態は力量の伴わない「はかない野党の抵抗」でしかなく、それによって国会審議の流れが変わることなどまったくないことを、ほとんどの国民が知っている▼いま安倍政権は、財源不足を理由に各種社会保障給付を限りなく圧縮し、アベノミクスに言う「安心につながる社会保障」どころか、「限りなく不安につながる社会保障」への道を突き進んでいる。強大な自公与党による政治の閉塞を打ち破り、流れを変えるには、蟷螂が力を合わせ、「車轍に当たる」の気概を持って選挙に勝つしかない。(良穂)

茶飲み話[38]

 またぞろ超党派のカジノ議連が、この臨時国会でカジノ賭博合法化法案を成立させようと躍起になっている。カジノ合法化を含む「統合型リゾート(IR)推進法案」は、2013年に初提出され、わずか一日審議されたものの、以後1年半にわたって、店晒し状態が続いている。この間、世論調査ではカジノ合法化に反対する人々の数が賛成を圧倒しており、また、新聞各紙も合法化に「反対」、あるいは「慎重に」との社説を掲げるにいたっている▼厚労省研究班の推計によれば、現在でもパチンコなどを含めたギャンブル中毒の疑いのある人は全国で536万人、成人男性の8・7%を占めているという。カジノ合法化となればその数はさらに増え、多重債務による家庭崩壊や資金欲しさに犯罪に走るケースなども懸念され、また、反社会的勢力による闇支配や青少年の健全育成に悪影響を及ぼし、退職者・高齢者がなけなしの預貯金や年金を巻き上げられ、悲しい結果を招くようなことにもなりかねない▼自民党は11月9日から衆議院内閣委員会で審議入りする方針を固めていたが、TPP法案を巡る混乱の影響を受け、9日の審議入りは見送られた。自民党の二階幹事長は8日の記者会見で「自民党内にも、野党の間にも、法案に対する理解が十分に行き届いていると判断するには、少し時期尚早ではないか」と言いつつ、「いずれにしても、もうそろそろ結論を出す段階だろうと思っているが、慎重にやっていきたい」と述べている▼これに対し日本維新の会の馬場幹事長は、「わが党だけでなく、自民党も法案提出者になっているのに、この段階で自民党内がまとまらないのはおかしい。法案提出者としても、最大会派としても、法案の成立に向け、責任をもってリーダーシップを発揮してほしい」と注文を付けている▼自民・公明・民進・維新の会などの国会議員220名を超えるカジノ議連の勢力からすれば、成立必至であった本法案が、店晒しにされてきたのは、多くの国民がこれを求めておらず、また、先にふれたような多くの問題が解消されていないからにほかならない。古来、ご法度とされてきた賭博行為、人々の心を蝕むカジノによる経済振興策などあってはならないことである(良穂)

茶飲み話[37]

 安倍政権下で閣僚や準閣僚級議員の不祥事や不適切発言が止まらない。9月29日には、TPP(環太平洋経済連携協定)の承認案と関連法案をめぐって、衆議院TPP特別委員会の理事を務める福井照衆議院議員(四国ブロック選出)が、「この国会ではTPPの委員会で西川先生の思いを強行採決という形で実現するよう頑張らせていただきたい」と宣うた▼西川先生とは、安倍内閣で農水大臣を務めたが不透明な政治資金処理をめぐって辞任した西川公也衆議院議員(北関東ブロック選出)のことである。先の通常国会では衆議院TPP特別委員会の委員長を務めていたが、本人が執筆したといわれるTPP交渉の内幕本をめぐって審議が紛糾し、今国会では委員長を交代させられている。福井議員は釈明会見で「この国会でどうしても採決したいという総理の思いを申しあげたにすぎない」と本音?を吐露している▼さらにお粗末なのが9月1日、台風10号による豪雨被害の視察で岩手県岩泉町を訪れた際、水たまりを現地の自治体職員に「おんぶ」されて渡った務台俊介内閣府大臣政務官兼防災政務官(長野県2区選出・衆議院議員)。長靴を持ってくるのを忘れたという。政府高官が豪雨災害の視察に長靴を忘れるというのもありえない話だが、水たまりをおんぶしてもらってわたるというのもこれまた情けない▼聞けば務台先生、東大法学部から自治省(現総務省)に入り、その後内務省消防庁防災課長などを経て議員になったキャリア組とか。「現地で自分のための長靴くらい用意しているはずだ」という権力者意識がそうさせたのだろうか。消防庁防災課長と言えば防災に関するプロ中のプロのはず。結局、現場に疎い「論語読みの論語知らず」を露呈してしまったようだ▼二人の議員に共通しているのは、「他人への思いやりや気遣い」の精神が完璧なまでに欠落していることであり、権力でしか自分の価値を表せない小人間だということであろう。安倍政権が続く中で自民党議員の質の劣化は目を覆うばかりである。(良穂)

茶飲み話[36]

 『長時間労働を是正します。同一労働同一賃金を実現します。非正規という言葉をこの国から一掃します。最低賃金を引き上げ、高齢者の就労機会の提供など課題は山積しています』―。労働組合が太平の眠りから覚めて、ようやく雇用秩序の回復や労働時間の問題などに本格的に取り組む気になったのかと思ったが、よくよく聞けばそうではなかった▼これは8月2日、第2次改造内閣の発足にあたっての記者会見で安倍総理が述べた言葉である。安倍総理はまた、9月2日には内閣官房に設置した「働き方改革実現推進室」の開所式で、「働き方改革にいよいよ着手する。長時間労働を自慢する社会を変え、かつてのモーレツ社員が否定される日本にしたい」とあいさつしている。本気でやる気があるのならやってほしいものだ。しかし安倍総理のいうことは、どれもこれも眉唾に聞こえて仕方がない▼そもそも「日本を企業が世界で一番活動しやすい国にする」として雇用・労働法制の緩和・改悪を推し進め、生涯派遣につながる労働者派遣法の改悪を強行し、残業代ゼロ労働や労働者の金銭解雇を可能にする労働法制の改悪を目ろんでいるのは一体誰なのか。不安定雇用労働者を増やし続けているのは一体誰なのか。働き改革というならば「非正規という言葉を一掃する」ではなく、「非正規雇用を一掃する」と言うべきなのに、わざわざ紛らわしい言い回しにしているのはなぜなのか▼ともあれ、厚労省をはじめ経産省や文科省など、9つの府省庁からの出向者40人に、連合の神津会長も参加する「働き方改革実現推進室」。月1回のペースで開催し、正規・非正規の雇用形態の違いだけで賃金格差をつけない「同一労働同一賃金」などについて、今年度中に「実行計画」をまとめ、来年の通常国会で関連法を改正する考えだという。「大山鳴動して鼠一匹」にならなければいいのだが・・・。(良穂)

茶飲み話[35]

 茶飲み話にしては、茶が苦すぎて、口元が歪んでしまいそうな話である。参議院選挙が終わるまで、政府・与党が選挙への影響を恐れて、ひた隠しにしていた2015年度のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による年金積立金の運用実績は、5兆3098億円の損失であった。事前に察してはいたものの「やはりそうだったのか」と、安倍政権の狡猾さと厚顔無恥にあきれかえるやら、腹が立つやら▼それだけではない。本年度に入ってからも、4―6月期は5兆2491億円の損失を出している。国内株式が2兆2574億円、外国株式が2兆4107億円、外国債券が1兆5193億円のそれぞれマイナスで、収益が増えたのは国内債券の9383億円のみであった。これについてGPIFの高橋則広理事長は、「5月の米国雇用統計が事前予想を大きく下回ったことや、市場予測と異なる英国のEU離脱投票結果を受けて急激に円高が進んだ」などと説明資料で述べている▼GPIFは2014年10月、比較的安定している国内債券中心の運用方針を見直し、多くの反対を押し切って、国内外の株式比率をそれぞれ25%に引き上げるリスク性の高い運用に切り替えた。年金積立金を株式市場に投入することで、株価引き上げを狙った安倍政権の景気対策の一環である。だから政府・与党は、「短期的には損失が出ても、今すぐ年金支給に影響が出るわけでなく、運用は長期的視点で見るべきだ」と繰り返している▼その一方で安倍総理は、本年2月、衆議院予算委員会で民主党(当時)議員の質問に対し、「株価下落で年金(積立金)運用が想定を下回る状況が長期に続いた場合、将来的に給付額を減額する可能性はある」と本音を吐露している。短期的に見れば年金支給には影響しないというが、いまでも支給額はじりじりと引き下げられている。政府・与党がいうように長期的視点で見れば、株価頼みの運用方針を変えない限り、公的年金への不安は弥(いや)が上にも増すばかりである。国民の暮らしを不安に陥れ、置き去りにしているアベノミクス、安倍政権による経済最優先の政策は、明らかに間違っている。(良穂)

茶飲み話[34]

 労使関係について興味ある数字が目にとまった。厚労省が民間事業所の組合員30人以上の5189組合(有効回答3215組合)を対象に行った「平成27年労使関係の交渉等に関する実態調査」である▼それによれば「労使関係は安定的に維持している」が49.7%、「おおむね安定的に維持している」の38.1%を合わせると、ほぼ9割の組合が「労使関係は安定している」と答えている。大企業ほどその比率が高く、1000人以上の事業所では9割を超えている▼もちろん、労使関係は安定しているに越したことはない。しかし、雇用労働者の4割近くを不安定雇用にし、仕事内容は同じでも、雇用・労働条件などで正規社員との間に明確な差別化が行われている中で、この数字は一体何を意味するのだろうか▼「過去3年間に団体交渉を行った」組合は67.8%。逆に言えば、3割を超える組合が3年間に1度も団体交渉を行っていないことになる。非正規社員について「労使間で話し合ったことがある」のは半数に近いが、その多くは労働条件について(35.3%)で、「パートの雇い入れ」に関しては23.6%でしかない▼こうした数字から透けて見えてくるのは、「労働組合に入れない労働者」をほとんど無条件で受け入れ、組合員比率が低下し、労使対等の原則が形骸化している労働の現場の姿ではないだろうか。わが国労働組合の推定組織率は17.4%。古くから組織率は労働組合の力をはかるバロメーターといわれているが、連合の頑張りにもかかわらず下落傾向に歯止めがかからない▼国家も企業も、労働者を粗末にしては発展も安定もあり得ない。安定した雇用の確保という一点で「緊張感ある労使関係の維持」を忘れたら、労働運動・労働組合は存在意義を失う・・・。(良穂)

茶飲み話[33]

 退職者連合の1年間の活動は、年金・医療・介護を柱とする「社会保障制度等の要求」と、毎年9月に開催する全国高齢者集会が中心である。政策・制度要求では年に1~2回、厚生労働省や支持する政党への要請行動を行い、それをバックアップする形での院内集会などである▼安倍政権はいま、国の財政運営の最大課題は「増大する社会保障費の抑制にある」として、徹底した「給付の抑制」と「負担増」の政策を推し進めている。そのため、われわれが、一片の要求書を関係省庁や政党に持ち込み、院内集会で気勢をあげる程度では、「注文を付けてみる」だけのことで、実効はあまり期待できない▼その意味では、今日の政治状況から、われわれの運動は「社会保障制度の充実を目指す」というより、「これ以上後退させない」ための精一杯の闘いだと言えよう。しかしこのままでは、ずるずると後退させられ、年金・医療・介護を柱とする社会保障制度は先細りし、崩壊にさえ向かっているといっても過言ではない。われわれが生きている間は何とか持ちこたえても、これから退職者・高齢者の仲間入りをする若者たちの将来は限りなく不透明である▼このような状況から反転攻勢するには政治の流れを変え、歴代自民党政権、自・公政権がズタズタにした雇用秩序を回復させ、雇用の安定を図るしかないのだが・・・。しかし、なぜか安倍内閣の支持率は高く、先の参議院選挙でも予想を上回る大勝を許してしまった▼いつの時代でも労働運動は、社会を改革する力であってほしい。連合の奮起に期待するとともに、古き良き時代を歩んできたわれわれ自身が、「子孫に美田を残さず」とはいうものの、子や孫たちが安心して暮らせる社会にするために、もっとしっかりすべきなのだろう。そのためにも「行動する退職者連合」でなければならない。(良穂)

茶飲み話[32]

 あまりにも下劣で唾棄したくなるほどである▼舛添東京都知事をめぐる数々の問題、政治資金規正法に抵触するとかしないとかはさておいても、マスメディアの報道で知る限り、立場を利用しての公私混同が甚だしく、公人としてのあり方がまるでわかっていない。そして言行不一致、すさまじいほどの私利私欲の塊で、カネの亡者でもあるようだ。都政について語るために設けられている金曜日の定例記者会見、この頃は「定例釈明会見」さながらである▼しかし、指摘される疑惑や問題について、本人自身は何一つ具体的に語っていない。はじめは「精査してお答えします」と言い逃れていたが、新たな疑惑が次々と浮上し、追及をかわし切れないと見るや、「公正な第三者に厳しく調査していただく」と宣う。そして調査を依頼したとする二人の弁護士の名前も明かさず、「元検事」というだけ。ことばの響きで、あたかも「公正で厳しい第三者」であるかのようなイメージをアピールする狙いなのだろう。その調査とやらも「一日も早く」と言いながら、いつまでかかるのか明らかにしない▼そもそも、そんな調査など必要ないはずだ。あれやこれやの内容については、本人が一番よく分かっているのである。とにかく時間稼ぎ、逃げ切りを図ろうとしていることが見え見えである。この頃では、テレビに映し出される顔も口元が歪み、目だけがぎらぎら光って、狡猾なイタチかムジナを彷彿させる。こんな品性下劣な人物が、日本の首都・東京のトップに座っていると思うと実に情ない。一日も早く辞めてほしい▼1日から始まった都議会で、現職知事の恥ずべき行為と責任を明らかにすることができるのか、都民のみならず全国民が注視している。都議会与党で過半数を占める自民党と公明党は、徹底追及には消極的だという。前回の選挙で舛添支持をした両党にとっては、辞職されたら7月の参議院選挙に響くのと、都知事選挙で勝てる候補者がいないことがその理由だそうな▼公私混同、私利私欲に溺れる知事も酷いが、もしも党利党略でそんな知事に手加減する政党があるなら、それも同じ穴のムジナに等しい。(良穂)

茶飲み話[31]

 アベノミクスは成功なのか失敗なのか▼安倍総理が「来年4月の消費税10%への引き上げ」を再延期する方向に傾いていることに関連し、その受け止めをめぐって与野党の見解が割れている▼当然のことながら、与党の自民党と公明党は「景気は徐々に上向いてきており、アベノミクスは道半ばだが成功している」といい、民進党など野党は「実質賃金が下がって消費が低迷している。アベノミクスは失敗だ」と主張している▼自民党・公明党の主張のように、景気が徐々に上向いてきているというのは疑わしいが、「アベノミクスが成功している」というのは間違いない。もともとアベノミクスは、庶民の生活を豊かにすることをめざした政策ではなく、拡大する貧困や格差是正をめざしたものでもない。強い者をより強く、輸出大企業など儲かっている企業をさらに儲けさせるための政策である▼だから安倍総理は、「日本を企業が世界で一番活動しやすい国にする」として、聖域なき規制改革を推し進め、雇用・労働法制を緩和・改悪し、法人税の実効税率を連続して引下げるなど、産業・企業の活動に障害となるものを一つ一つ取り除いているのである▼その結果、庶民の生活、とりわけ高齢者の生活は苦しくなっても、大企業は史上最高益をあげている。まさに、アベノミクスは文句なしの大成功なのである▼ゆえに政党支持率も自民党37%で、民進党の8.2%(NHK5月)とは比較にならないほど高い。内閣支持率も50%を超えている▼社会保障制度が先細りしようが、安定した仕事に就けない若者が増え続け、結婚出来ない若者や、子供を産みたくても産めないご夫婦、終の住処さえ確保できない低所得高齢単身者がどんなに増えようが、そんなことは一向にお構いなし。アベノミクスが成功しているからこそ、安倍政権は高い支持率を得ているのである。(良穂)

茶飲み話[30]

 こんな話、茶飲み話にはそぐわないとは思いながらも、どうにも筆を執らずにはいられない▼千葉県内の建設会社とUR(都市再生機構)との間に生じたトラブルで、補償交渉の「口利き」の見返りに、建設会社側から秘書ともども多額の現金を受け取り、接待を受けていたとされる甘利明前経済財政担当大臣の「金銭授受疑惑」である。甘利氏は1月末の記者会見で「2回にわたって100万円の現金を受け取った」ことを認め、大臣を辞任した▼また、この会見では「自ら精査して事実関係を明らかにする」とも述べていたが、その後の週刊誌などの報道によれば、受け取った金額は甘利事務所の2人の秘書を含めて1200万円にも上るという。甘利氏は大臣辞任直後から「睡眠障害」とやらで「自宅療養1ヵ月」の診断書を提出して国会には姿を見せず、5カ月近く経った今なお雲隠れしている。野党の追及から逃れるための安倍政権の「甘利隠し」と指摘する声もあるが、まんざら的外れでなないだろう▼国会議員の歳費(給料)は「労働の対価ではない」との理由で、病気療養中でも服役中でも支払われる。月額130万円余の歳費に期末手当が635万円、あわせて年額2000万円ほど。このほかに「文書交通費」が月額100万円。合計して年に3200万円ほどが議員個人の口座に振り込まれる▼それとは別に、政党交付金が議員一人当たり約4000万円、立法事務費月額65万円。3人まで国費で賄われる公設秘書の給料は勤務年数によって異なるが、おおよそ一人当たり年収600万円から1000万円。なんだかんだで、議員一人当たり年間1億円ほどの税金がつぎ込まれている▼年金・医療・介護・生活保護などの給付は減額され、税金と保険料は値上げが続く。高齢者や社会的弱者は息も絶え絶えだというのに、重要政策を担当する大臣のスキャンダル。安倍総理の任命責任を含め、閣僚を辞任しただけで済む話ではない。(良穂)

茶飲み話[29]

 1980年代は、わが国の労働運動が最後の輝きを見せていた時代だったと言えるかもしれない▼連合の源流ともいえる全民労協が結成されたのが1982年。その土台作りを行ったのが、80年9月に設置された「民間先行による労働戦線統一推進会(統一推進会)」である▼「共通の認識に立つ民間労組を先行統一させる」との4団体合意(総評・同盟・中立労連・新産別)によって、それぞれのナショナルセンターを代表する6人の民間単産の会長・委員長が、翌81年6月までに13回の会合を開き、「民間先行による労働戦線統一のための基本構想」をまとめ上げた▼そして、81年12月には極左などの妨害を排除しながら「統一準備会」を結成し、翌年の全民労協の結成を経て87年には民間先行による「連合」へとつながっていく▼毎回、侃々諤々(かんかんがくがく)の激論を交わしていた「統一推進会」は、会合が終われば事務方を担当していたそれぞれの単産の書記長・事務局長などを含め、近くの小料理屋で「ちょっと一杯」が常だった▼そこで、会の使い走りをさせられていた一人の若きオルガナイザーの出番が回ってくる。12人の“親分衆”の前で労働歌をうたわされるのである▼♪踏みしめる大地に若草萌え いま生まれる希望の五月 五月の土の上で肩を組もう さぁー君と心熱く 団結の旗高く掲げ 友よ五月の道を行こう―。唄い出しはいつも決まってこの歌、「友よ五月の道を行こう」から。わが国メーデー50周年を記念し、メーデー実行委員会が公募して作った歌で、一つの詞に曲は二つ付けられている。ちなみに、♪きらめく光 青空のもと 団結の旗 高く掲げ進め~、ではじまる「国のすみずみから」も50周年記念の公募入選作である▼労働戦線の再編・統一から四半世紀。労働者の暮らしはどう変わっただろうか。もうすぐメーデーである。労使関係が成熟(?)したからなのか、それとも労働運動が変質したからなのか。いつしかメーデーも形だけの式典と化し、労働者の連帯や団結を確認しあう場ではなくなったとの声もある▼「労働運動にもう一度輝きを」と願うのは、老いたオルガナイザーの繰り言でしかないのだろうか。(良穂)

茶飲み話[28]

 日本に駐留する米軍人は、陸・海・空・海兵の4軍を合わせ約36,000人である。そのうちの約70%の軍人と家族、軍属を含む約45,000人が沖縄に駐留している。また、沖縄に駐留する軍人のほとんどは海兵隊だと言われている▼名護市の資料によると海兵隊は敗戦間もない頃から本州に駐留していたが、米軍の演習場や基地問題への反発が強まり沖縄に移駐させたと言う。当時の沖縄は1952(昭和27)年のサンフランシスコ講和条約により日本本土から切り離され、琉球政府としてアメリカ軍政下に置かれていたので、海兵隊の沖縄への移駐は容易であったと思われる。こうして海兵隊は現在の普天間飛行場に居座ることとなった▼いま沖縄県民は政府の名護市辺野古の代替え基地建設に反対し、翁長知事を中心に島ぐるみ闘争を展開している▼去る3月16日、九州ブロックの総会が那覇市内で開催された。翌17日は朝から新基地反対の座り込み行動を激励するため、建設予定地の第一ゲートへ向かった。沖縄県自治退副会長の平良亀之助さんから車内で反対闘争の現状報告を受けたが、平良さんは「新基地反対の運動は第3の琉球処分に対する闘いだ」と説明してくれた▼第1の琉球処分(注)は明治政府が琉球王国を強権的に日本の国の一部としたこと。第2はサンフランスシスコ講和条約により沖縄を日本から切り離したこと。そして100年もの耐用年数をもつ新基地建設は第3の琉球処分だと言う。更に、平良さんは「沖縄ではいま日本からの独立の声が高まりつつある」と言い、経済的にも米軍基地跡地の再開発で現在の何十倍もの収益を上げることができるとも言う。安倍政権が新基地建設を強行しようとすればするほど、沖縄県民の日本からの独立の声が強まるかも知れない▼第一ゲート前で私が挨拶した直後、座り込みテントの奥から私の名を呼びながら出てきた女性がいた。北海道国有林勤務時代の同僚の荒井(旧性米田)さんだった。荒井さんは私よりはるかに若い全林野労組女性部の幹部であつた。北海道十勝の仲間とともに新基地反対闘争の応援に来ていたのである。偶然とはいえ20余年ぶりの再会がゲート前であったことに私は大いに感激したが、平良さんは「平和運動が沖縄から北海道まで繋がっているからこそ再会できたのだ」と一言。軍事基地に立ち向かう沖縄県民の島ぐるみ闘争を共に闘う決意を新たにしたブロック総会であった。(阿部)

(注)琉球処分とは、明治政府が1872(明治5)年それまでの琉球国を廃止して琉球藩を設置。しかし次の廃藩置県に琉球藩が強く抵抗したため、1879(明治12)年政府の「処分官」が警官と兵隊を従えて首里城に乗り込み、実力で琉球藩を廃止して沖縄県を設置した。これにより約500年の歴史を持つ琉球王国は滅び、同年4月4日、日本の一部として沖縄県となった。琉球王国から琉球藩、そして沖縄県を経て日本の一部とした政府の一連の措置を琉球処分と言う。(琉球新報)

茶飲み話[27]

 「口は禍(わざわい)の門(もん)」という。一般的には「口は災いのもと」といわれている。「善意で言ったことでも思わぬ誤解をうけて災いになることがある。まして、うっかり口にしたり、悪意による言葉にはそれ相応の反応があるものと思わなければならない」という先人の戒めである。このところ、安倍内閣の内側から、そんな諺を彷彿させる発言が相次いでいる▼丸川環境大臣は、福島原発事故による放射能除染に関する国の基準が「年間1ミリシ-ベルト」であることについて、「1ミリシーベルトには何の科学的根拠もない」と発言し、その後陳謝・撤回した。高市総務大臣は衆議院予算委員会で「放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返した場合には、電波停止を命じる可能性もある」との恫喝発言である▼お粗末なのは島尻安伊子沖縄北方担当大臣。記者会見で「歯舞」という字が読めず秘書に助けを求める始末。また、閣僚ではないが丸山和也参議員も負けてはいない。参議院憲法調査会でアメリカのオバマ大統領を「奴隷の血を引く黒人が大統領になった」と、外交問題にも発展しかねない差別発言をやらかした。このほかにも、キリがないほどの不祥事・不適切発言のオンパレードである。これら不祥事・不適切発言は、閣僚や国会議員としての自覚や責任感が欠如し、国会での絶対多数に慢心してのことだろう▼しかし、何といっても極め付きはこの人。年金積立金運用に関する民主党議員の質問に対し、安倍総理は「株価下落で想定を下回る状況が長期に続いた場合、給付額を減額する可能性がある」と宣うた。年金積立金は国民のものである。安倍政権は株価を高値維持させるために、積立金の50%をリスク性の高い株式投資に振り向けることにした。多くの国民が運用損失による目減りを心配し反対しているが、やはり失敗しても責任は取らず「年金を減額する」と、語るに落ちたのである▼そういえば『口利き疑惑』で大臣を辞任した甘利前経済財政担当大臣。睡眠障害とやらで、1月末から国会に姿を見せていない。安倍総理の「甘利隠し」とも囁かれているが・・・。(良穂)

茶飲み話[26]

 「貧すれば鈍する」という喩え(たとえ)がある。貧乏すると日頃は利口な人でも才覚が効かなくなり、カネ欲しさ、モノ欲しさのあまり、みみっちいこともしかねないという意味である。もともとは「貧すれば貪する」で、貪る(むさぼる)という字をあてていた。近頃、そんな喩えを彷彿(ほうふつ)させるような出来事がやたらと目につく▼日本列島が疑心暗鬼に陥った「耐震偽装建築設計」の事件から10年、今度はマンション建築の基礎にかかる「くい打ち偽装」が世間を騒がし、廃棄処理したはずのトンカツやコロッケが息を吹き返し、普通の鶏肉が高級ブランドに厚化粧して店頭に並んでいる。まさに「どうせ消費者にはわかるものか」と高をくくり、信用を笠に着て金儲けに走る卑劣な行為、消費者に対する裏切り以外の何ものでもない▼しかも、そうした不正を行っていたのは、それなりに世間に名の通った企業であり、いずれもかなり以前から行なっていたようだという。事件発覚後の記者会見などで、それら経営陣から出てくる言葉は「二度と起こらないよう指導を徹底する」とかで、「トップは知らなかった」ふりをする。さらに追求が進むと、「企業としての順法精神にかけていた」とくる。これでは、いくら経営陣が居並んで慇懃無礼に頭を下げて見せても開き直りとしか映らない。不祥事を起こしてしまったときに、経営陣居並んでの頭の下げ方を指導するコンサルタントがいるという噂さえ、まんざらジョークとはいえなくなってくる▼「内を省みて賤(いや)しからず」、経営陣は消費者と従業員のために、社会の公器としての企業に誇りを持ち、まじめにやってほしいものだ。とはいうものの、安倍総理の片腕ともいわれる大臣の「口利き疑惑」や、頻発する自民党国会議員の絶対多数にあぐらをかいての傲慢さや知識・認識不足からくる不規則発言、道徳を無視した行い等々、政権末期を暗示しているようなあれやこれやを見せつけられれば、「とてもじゃないが、まじめになんかやってられないよ」と開き直りたくなるのも無理ないか。(良穂)

茶飲み話[25]

 参議院選挙まで残すところ半年余り。安倍自公政権に対抗するため、「野党の力合わせを」との声は聞こえるものの、具体化の気配すら感じられない▼古い話で恐縮だが、参議院で与野党が逆転したのは1989年。当時、野党であった公明党が、与野党逆転を実現するため、参議院全国区(現在の比例区)に社会党、民社党との統一名簿方式で臨むことを提唱していた。しかし当時の社・民両党の関係からすれば、それは実現不可能なこと▼そこで、公明党の矢野絢也書記長が話を持ち掛けたのは、連合(民間)の山田精吾事務局長であった。両氏は極秘裏に何回かの会談を重ね、連合が呼びかける形で「社会・公明・民社・社民連の4党と協議し、自民党独占区に統一候補を立て、当選後はどの政党にも属さない新会派をつくる。それを懸け橋に新しい政治の流れをつくろう」との構想を取りまとめた。当初は社会党や民社党、連合の内部からさえ数カ所で候補者を擁立できれば上々といった程度で受け止められていた▼しかし、89年2月に行われた参議院福岡選挙区の補欠選挙で社会党公認の連合候補が自民党に圧勝したことで状況は一変した。以降、7月の本番に向けて急ピッチで統一候補者づくりを行うこととなり、山田が中心となって4党の書記長、選対委員長などとの協議を繰り返し、候補者擁立が目される現地に足を運んで関係者の意見を聴くなど、丁寧に準備を進めた。その過程で山田が腐心したのは、「社会的に広く支持が得られる候補者を立てることができるかどうか」であった▼その結果、11選挙区で4党統一候補の擁立に成功、岡山は社会党が独自候補擁立を譲らなかったため、3党統一候補となった。12人のうち労働組合出身者は一人だけ。結果は、4党統一の11選挙区で完勝し、与野党逆転の一角を担うことができたのである。今度の選挙でも、野党それぞれが「違い」を強調するあまり、大きな目標を見失わないでほしいのだが・・・。(良穂)

茶飲み話[24]

 ▼昔々、獣族と鳥族が戦争をしていました。蝙蝠(こうもり)は、獣族が優勢になると「私は全身に毛が生えているので獣の仲間だ]といい、そちらに味方します。鳥族が優勢になると、今度は「私は翼があるので、鳥の仲間だ」といい、鳥族に味方します。やがて獣族と鳥族が和解し平和が訪れると、そのことが獣族にも鳥族にもバレてしまいました。こうして蝙蝠は獣族からも鳥族からも仲間外れにされてしまい、誰もいない夜しか行動することができなくなってしまいました。▼そんなイソップ物語を彷彿させる出来事が国会で演じられた。1月7日、与野党は衆議院予算委員会の平成27年度補正予算案審議に先だち、昨年末に結成された「おおさか維新の会と改革結集の会」に対する質問時間の配分をめぐって協議した。自民党などは「おおさか維新の会と改革結集の会は野党」だとして野党の時間配分の中での調整を求めた。これに対し民主党は、与野党どちらでもない「や党とよ党の中間の『ゆ党』だ」と主張し、協議は紛糾したという▼最後は、質問時間が野党に多く配分されていることから今回に限り与党が7分、野党が26分を譲ることで決着した。おおさか維新の会、改革結集の会は「自分たちは野党だ」と主張し、今後は民主党の質問時間を減らして融通するよう求めていくという▼これまでも、大阪を中心とする維新の会は労働組合を極端に敵視し、不当労働行為を平然と犯すなどの暴挙を繰り返してきた。また、自民党と同調し憲法改正を主張してはばからない。しかし夏の参議院選挙を思えば、数を頼んでの強権・横暴の限りを尽くしている安倍政権ベッタリでは不利だと判断したのだろう。与党になったり野党になったりの蝙蝠のような動きに、『ゆ党』とは、まさに言い得て妙である。(良穂)

茶飲み話[24]

 いささか旧聞に属するが、11月3日は「文化の日」▼1946年11月3日に「平和と文化」を基調とする日本国憲法が公布されたことから、48年に「国民の祝日に関する法律」によって「自由と平和を愛し、文化をすすめる」日として祝日と定められた▼とはいうものの、この日は戦前から「明治節(その前は天長節)」として国民の祝日になっていた。それは、11月3日が明治天皇の誕生日であったことから、その聖徳を敬い、国民の心に深く刻み、長く称えようとの趣旨で1927年(昭和2年)に制定された▼「文化の日」は、それとは無関係に定められたといわれているが、「明治節に憲法公布の日をあわせた」との説もある。それについて、小説家や劇作家として著名な参議院議員・山本有三(本名は勇造)は回想録で、「憲法発布は11月1日の予定であったが、施行日がメーデーと重なるため11月3日に変更された」と記し、(日本政府は)11月3日を憲法記念日にしたいと強く主張したが、GHQが11月3日は絶対にだめだとして譲らず、「憲法記念日という呼称以外ならOK」ということになったと記している▼日本国憲法の基本は「平和主義・国民主権・基本的人権」であることは改めていうまでもない。しかし、その憲法の真柱がいま、大きく揺らいでいる。それも憲法改正を目ろむ安倍総理の思惑通り、筋書き通りなのだろうか。なぜならば、2012年に公表された自民党の憲法改正草案。第9条に「国防軍の保持」を明記し、衆・参両院議員の3分の2以上としている96条の憲法改正発議要件を過半数に緩めている▼加えて「表現の自由」を保障した21条では、「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは認められない」としている。つまり、時の権力者の判断次第で表現の自由はたちまち否定されかねないのである。このような安倍総理の一連の政治手法によってもたらされる日本の進路に、限りない不安と不気味さを禁じ得ない。(良穂)

茶飲み話[23]

 東京新聞夕刊のコラム「紙つぶて」は、連合の神津事務局長が毎週金曜日に連載しているものです。
9月11日のコラムの中で退職者連合についてふれられたものを掲載しました。
(コラムは、12月までです。)

kamitsubute

茶飲み話[22]

 ♪モンテンルパの夜は更けて/つのる思いにやるせない/遠い故郷しのびつつ/涙に曇る月影に/やさしい母の夢を見る―。渡辺はま子と宇都美清が歌って大ヒットさせた「モンテンルパの夜は更けて」という歌である。▼1952年、フィリッピン・モンテンルパのニュービリビット刑務所に多数の元日本兵が収監されていた。B・C級戦犯の判決を下された元日本兵たちで、すでに死刑に処された者もあり、執行を待つばかりの者もいた。それは、終戦から7年、サンフランシスコ講和条約の締結から1年も過ぎてのことであった。▼そんな中で、元兵士たちの帰国を訴えながら教誨師(きょうかいし)として同所で活動していた真言宗僧侶・加賀尾秀忍師が、日本国内の世論喚起のためにと提案し、収容所内で作られた歌である。作詞は代田銀太郎(長野県出身)、作曲は伊藤正康(愛知県出身)の元将校で、二人ともB級戦犯として死刑の判決を受けていた。▼秀忍師からの郵便で楽譜と詞を送られた渡辺はま子は、それを持ち歌に加え、その年12月、国交正常化前のフィリッピンに苦労して渡り、収容者たちの前で歌った。そこには作者の代田、伊藤もいて、いつしか全員で涙ながらの大合唱になっていたという。♪ツバメはまたも来たけれど/恋し吾が子はいつ帰る/母のこころはひとすじに/南の空へ飛んで行く/さだめは悲し呼子鳥-。▼翌年(1953年)5月、キリノ大統領との面会にこぎつけた秀忍師は、渡辺はま子から届いたオルゴールを大統領にプレゼント。日本軍と米軍との市街戦で妻と娘を失くしているキリノ大統領は、「戦争を離れれば、こんなに優しい、悲しい歌をつくる人たちなのか。戦争が悪いのだ。愛と寛容が必要だ」として、7月17日のフィリッピン独立記念日の特赦で全員を釈放した。▼終戦から8年を経て、処刑された日本軍元兵士17柱と108名の元日本兵は1953年7月22日の朝、帰国船「白山丸」で家族が待つ横浜港に接岸し、ようやく祖国の土を踏むことができたのである。♪モンテンルパに朝が来りゃ/昇るこころの太陽を/胸に抱いて今日もまた/強く生きよう倒れまい/日本の土を踏むまでは-。安倍総理、一度この歌を聴いてみてください。そして、こんな悲劇を二度と繰り返さないようにしてください。(良穂)

茶飲み話[21]

 1945年8月15日、わが家に近所の大人達が集まり、雑音のひどいラジオ放送を深刻な面持ちで聴いていた▼私には何のことか理解できなかったが、父は「戦争をやめたと云う天皇陛下のお言葉だ」と教えてくれた。「耐え難きを耐え・・」で知られるあの「玉音放送」であった▼私は戦争に負けたとはとても信じられなかった。学校では毎日のように「君たちはお国を守るために立派な軍人になれ」と叩き込まれ、「日本は必ず勝つ」とも教えられていたからだ。また、長兄は近衛兵、次兄は予科練の通信兵、姉は陸軍病院の看護婦として3人も「軍に奉仕」していたので、父からは戦争に勝つまでは頑張れと云われ、広くて気の遠くなるような3町歩の水田にも入った▼「日本は神の国だから必ず勝つ」と信じていた戦争に負け悔しい思いもしたが、近くの飛行場を標的にしたB29の空襲がなくなり灯火管制もなくなった。安心して通学もできるようにもなったが、兄たちが帰ってくることが何よりも嬉しかった▼最初に近衛兵の長兄が東京から帰還し、姉もまもなく帰った。しかし、次兄は上海に配属された後は音信不通であった。ところが敗戦から1ヵ月ほどして突然帰還した。次兄は父の前に手をつき「戦争に負けて申し訳けない」と、涙を浮かべて頭を下げていた姿を今も記憶している。次兄は上海から本土防衛のため沖縄へ転属されたが、通信兵であったため米軍の沖縄総攻撃の直前に奄美大島へ「疎開」していたのである▼戦争はようやく終わったが食料はじめ生活物資が極端に不足し、国民の暮らしは暗くて貧しいものであった。しかし国民はこうした苦しい暮らしに耐えながら、戦争をしない平和国家として世界の信頼を回復し、荒廃した国土と経済を復興させ現在の豊かな暮らしを築いてきたのである▼敗戦から70年後の今日、安倍内閣の暴走で日本は再び戦争のできる国へ組み込まれようとしている。7月15日、衆議院安全保障特別委員会は、政府が提出した安保関連法案を民主党など野党の反対を押し切り採決を強行したのである。明らかに憲法違反の法律である。2015年7月15日は敗戦の日とともに忘れてはならない日となった▼安倍首相はアメリカの世界戦略に従属し海外で武力行使を可能にすることが国際貢献だと強弁するが、それは逆に日本国民の生命や財産の危機を呼び込むことになるのは明白である。安保関連法案の国会論争で垣間見たように、品位のない野次将軍のような安倍首相、数の驕りと劣化が進む現政権は早々に退陣してもらいたい。(私の戦争体験より:阿部)

茶飲み話[20]

 月日の経つのは早いもの。「東日本大震災」のあった2011年の退職者連合第15回定期総会で専従役員としてお世話になってから4年が過ぎた▼この7月15日の第19回総会で専従役員を辞めることにした。思えば、随分長いこと働かせてもらった▼1958年3月、千葉県館山市にある某高校を平凡な成績で卒業。同年4月に東京で、当時の電電公社に入社してから、今日まで切れ目なく、約57年間、労働運動に関わって働くことができた▼これまでに、お世話になったすべての皆様に心より感謝申し上げたい▼小生、1939年生まれの76歳。1946年、戦後初めての小学1年生。軍国教育から一変して民主教育に代わり、教える側も混乱していた▼新制中学ができたが校舎がないので、小学校の理科室とか今まで特別教室としていた教室に生徒が溢れていた記憶がある。直接戦争に関わってはいないが、敗戦後の物不足や食糧難の時代を体験している年代である▼60年安保闘争、70年安保闘争、三井三池闘争も経験している。東京オリンピックも体験している。経済の右肩上がりの時代も、バブルの時代も体験してきた▼だが、今の安倍政権のように憲法第9条を蔑ろにし、世論を無視して、この国を「戦争のできる国」にしようとする政権は初めてである▼これからの日本はどうなってしまうのか大変心配である。平和でなければ社会保障の充実などありえない。現役世代の奮起を期待したい▼小生、これからは、教養(今日用)と教育(今日行く)に心掛け、運動を継続して、健康寿命を延ばし、死ぬまで元気でいたい。謝謝。(羽山)

茶飲み話[19]

  「誰かが私を笑っている/向こうでもこっちでも/私をあざ笑っている/でもかまわないさ/私は自分の道を行く/笑っている連中もやはり/各々の道を行くだろう/よく云うじゃないか/『最後に笑うものが最もよく笑うものだ』と/でも私は/いつまでも笑わないだろう/いつまでも笑えないだろう/それでもいいのだ/ただ許されるものなら/最後に人知れず微笑みたいものだ/」。(樺美智子遺稿集「人知れず微笑まん」より)▼樺美智子さん。いまや彼女の名を記憶しているのは70歳代以降の人たちだろう。1960年6月15日、東京大学文学部の4年生だった彼女は急進的な学生運動組織の活動家として、日米安保条約改定阻止を叫んで4000人の全学連のデモ隊とともに国会に突入し、警官隊と激しく衝突が繰り返されるなかで死亡した▼マスコミ・世論は警官隊の暴走・暴行を強く非難し、家族の希望で解剖を行った医師は「眼のひどいうっ血、これは首を強くしめつけられたため。ひどいすい臓出血は上から踏みつけられたもの」と警官隊の暴行による死亡を示唆したが、結局は胸部圧迫死という曖昧な形で彼女の死は歴史のかなたに葬り去られてしまった。▼この日、全国各地で580万人の労働組合員らが決起し、彼女が亡くなったこの衝突による負傷者は重症43人を含め589人、逮捕者は182人にのぼった。彼女が事件に巻き込まれる数時間前には右翼の児玉誉士夫配下の「維新行動隊」が、女性デモ隊員らを集中的に襲い暴虐の限りを尽くしていたが、警官隊はそれを放置していたという。歌人の故土屋文明は、彼女の死を悼んで「一ついのち/億のいのちに代わるとも/涙はながる/われも親なれば」と詠んでいる▼半世紀を経たいま、労働組合は世の中の不正・理不尽とたたかう心を忘れ、若者たちの多くは政治への関心を失っている▼特定秘密保護法の強行可決、武器輸出三原則の転換、国家統制にもつながりかねないNHK人事への介入、憲法解釈を捻じ曲げてまでの集団的自衛権行使へのこだわりなどは、安倍総理が描く「美しい国、自信と誇りを持てる日本」にするための揺るぎない信念によるものなのだろうか。しかし一方でそれは、危険極まりない「権力者の信念」であり、立法府における絶対的優位による権力の暴走でもある。(良穂)

茶飲み話[18]

 主要な駅周辺で、A4版の30ページ位の雑誌を黙って掲げて、販売している人を見かけたことがあると思う。掲げている雑誌の名前は、THE BIG ISSUE「ビュグイシュー日本語版」という▼ホームレスの仕事をつくり自立を応援するもので、雑誌の販売者は、現在ホームレスか、あるいは自分の住まいを持たない人々である▼ビュグイシューは、ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として、1991年に英国ロンドンで、創設された国際的な組織である。最初、販売者は、この雑誌10冊を無料で受け取り、その売り上げ3,500円を元手に、以後は170円で仕入れ、350円で販売し、差額180円が彼らの収入となる。販売者全員が8項目からなる行動規範に同意し、顔写真つきの販売者番号の入った身分証明書を身につけて雑誌を販売している。▼2003年9月創刊以来、2014年8月末までで「ビュグイシュー日本語版」の実売数は約651万冊となり、ホームレスである販売者の人々に9億3,256万円の収入を与えている。▼私は、JRお茶の水駅聖橋口の販売員から10冊ほど購入、顔見知りなっている。彼の話によると波があるが、平均すると一日15冊位販売しているとのこと。かなり厳しいがやり甲斐があると誇らしげであった▼わが国では2015年4月1日、「生活困窮者自立支援法」が施行された。この新制度は、わが国の経済社会の構造的変化を踏まえ、生活保護手前の生活困窮者の自立を支援する仕組み。この法律において「生活困窮者」とは、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのあるものをいう▼「生活困窮者自立支援法」が施行されたが、緒についたばかりであり、ホームレスの人々がすぐに、支援を受けられるわけではない。これからも街角で販売員を見かけたら、「ビュグイシュー日本語版」350円のご支援をお願いしたい。(羽)

<参考>
ビッグイシュー行動規範
ビッグイシューの販売者は「ビッグイシュー」の販売のプロとして、雑誌販売中は行動規範を守ることについて同意しています。真面目に働いているビッグイシューの販売者の生活を守るために、ルールを守らない人から買わないようにご協力をお願いします。ビッグイシューの販売者は以下の行動規範を守ります。

  1. 割り当てられた場所で販売します。
  2. ビッグイシューIDカードを提示して販売します。
  3. ビッグイシューの販売者として働いている期間中、攻撃的または脅迫的な態度や言葉を使いません。
  4. 酒や薬物の影響を受けたまま、「ビッグイシュー」をうりません。
  5. 他の市民の邪魔や通行を妨害しません。このため、特に道路上では割り当て場所の周辺を随時移動し販売します。
  6. 街角で生活費を稼ぐほかの人々と売り場について争いません。
  7. ビッグイシューのIDカードをつけて「ビッグイシュー」の販売中に、金品などの無心をしません。
  8. どのような状況であろうと、ビッグイシューとその販売者の信頼を落とすような行為はしません。

以上8つの行動規範に反した行為をする販売者を見かけたときは、下記へお電話ください。
(大阪) 06-6344-2260
(東京) 03-6802-6073

茶飲み話[17]

 米軍B‐29から投下された焼夷弾(しょういだん)32万発、焼失家屋27万戸、被災者100万人、死亡者10万人、これは1945年3月10日の東京大空襲の記録である▼住宅密集地を標的にした米軍の無差別爆撃は、空爆史上最多の人命を奪い東京の下町一帯を一夜にして焦土に変えた。絶え間なく投下される焼夷弾で道路という道路は炎の通り道となり、熱さで逃げ惑う人々は川に飛び込み力尽きたと云う▼日本の敗戦が濃厚だったこのころ東京は、数次にわたり米軍の空襲に見舞われたが、犠牲になったのは一般市民と子ども達である。親を失った東京の戦争孤児は3万人以上と云われ、住む家も食べるものもない実に悲惨なものだった▼東京大空襲から70年目の3月10日、JP労組東京退職者の会は「忘れてはならない東京大空襲!2015東京平和集会」を開催した。両国の横網公園内にある東京慰霊堂で献花をした後、退職者の会員とJP労組の組合員180余名による全体集会が開催された▼参加者からは猛火に怯えながら逃げ回った体験や、戦争の愚かさと平和の尊さなどの発言が相次ぎ戦後70年に相応しい集会であった▼安倍首相は過去の侵略戦争を忘れたかのように積極的平和主義を強調し、海外で武力行使を容認するための法制化を急いでいるが、武力を行使する積極的平和主義などはありえない。戦後日本の不戦の誓いは戦争で犠牲となった全ての人々の願いであったことを忘れてはならないと思う。(阿部)

茶飲み話[16]

 安倍総理は「日本を世界で最も企業が活動しやすい国にする」と巧言し、企業減税を推し進めている▼2015年度には25.5%から23.9%に引き下げ(国税・地方税の合計では34.62%から32.11%に)、その後さらに段階的に引き下げ、数年で国税・地方税合わせた法人実効税率を20%台にするという▼ちなみに、1984年には法人の実効税率は国税分のみで43.3%であったが、88年には42.0%に、3%の消費税が導入された89年には40.0%に引き下げられ、90年には37.5%、消費税が5%になった翌年の98年には34.5%%になり、99年には30.0%、そして2012年に現在の25.5%になった▼国会で審議中の2015年度一般会計予算、その歳入比率は消費税が17.8%、所得税17.1%、法人税11.4%、その他10.4%で、残りは特例公債と建設公債となっており、消費税が法人税を抜いて国税収入のトップである。これを見れば、政府・与党がどんなに「消費税は社会保障財源に充てる」と喧伝しても、その実、消費税増税が企業減税の穴埋め財源になっているのは明らかだ▼税制問題の権威者・富岡幸雄商学博士(中央大学名誉教授)は、「大儲けしている巨大企業がグローバル化し、無国籍化して税制の欠陥や抜け道を巧みに活用、節税をし、ときには地球的スケールでの課税逃れをしている」と喝破し、「巨大企業が正しく納税すれば消費税増税は必要ない」と言い切っている▼近々、心ある弁護士や消費者団体などが「公正な税制を求める市民連絡会」を立ち上げる。年金・医療・介護などの社会保障制度が揺らいでいる今、われわれも無関心ではいられない。(良穂)

茶飲み話[15]

 「カジノ賭博合法化」に向けた安倍総理を頂点とする推進派議員らの動きは尋常ではない。何としても今国会で成立させようと、議員立法より審議が優先される内閣法(閣法)での法案提出を画策しているという▼都市の国際競争力を高め、国内外のヒト・モノ・カネを呼び込むためにカジノ賭博を合法化し、経済再生の起爆剤としてアベノミクスの経済成長戦略の柱にするのだという▼しかし、賭博が価値あるものを何も生み出さないことは誰もが知っている。一獲千金を夢見てギャンブル依存症になり、まともな市民生活ができなくなる、そんな人間が増えれば増えるほど儲かるビジネス▼人を不幸にすることでカネを儲ける方法は、古くから、麻薬、売春、賭博であった。それらは、常に反社会的団体と深く結び付いてきた。どんなに美辞麗句をならべたてようと、わが国でカジノが開禁されれば、表か裏かは別にして、やがてはその道のプロである暴力団など、反社会的勢力が仕切るようになるだろう▼政治家がなすべきことは民の安寧を守ることであって、テラ銭稼ぎやそのおこぼれを漁ることではない。カジノがなければ招致出来ない国際会議や観光などは本末転倒であり、麻薬・売春・賭博に頼らない経済再生、観光産業振興を図るべきである▼古来、賭博が社会にとって害のないものであったなら、日本の法律はそれを禁じてこなかったはずだ。長い歴史の教訓から悪とし罪としてきたのである。その教訓をないがしろにして「経済再生の起爆剤」とは、欲に憑かれた愚者の妄想としか言いようがない。(良穂)

茶飲み話[14]

 いつのころからか、日常の暮らしの中で労働組合の情報に接することがほとんどなくなった。春のこの時期には新聞やテレビにちょっぴり登場するが、ふだんは何をしているのかまったく分からない▼人生の多くを労働運動に関わってきた者でさえ、こんな状態だから、会社勤めの労働者、パートや派遣労働者にとっては皆無といえよう▼連合をはじめ各級組織の運動方針には、「社会的共感の得られる運動」などの記述はあっても、具体的な運動がほとんどない。運動とは身体を動かすことであり、肉体や神経に多少の無理を加え続けることである。それによって機能維持も回復も可能になるのである。▼いつ頃だったか、「あなたの職場に労働組合が効く!」という車内広告を目にしたことがある。栄養ドリンクに模したイラストで、〝効能〟には、有給休暇がとりやすくなる\職場の風通しがよくなる\残業代が払われるようになる\男女の処遇の格差がなくなる\会社で健康診断を受ける機会ができる\正社員への道が広がる\とあった▼連合の組織化キャンペーンであったが、労働運動・労働組合の体力低下を防ぐ妙薬はない。各級リーダーが内にこもらず、感性と決断をもって運動に挑戦して行くことこそ特効薬である。(良穂)

茶飲み話[13]

 今年は羊年▼「羊頭狗肉」とは、羊の頭を看板にして狗肉(犬の肉)を売ること。見かけが立派で実質がこれに伴わないこと(広辞苑)▼「通販生活」という、カタログハウス社が年に3回発行している,通販商品のカタログ雑誌をご存じだろうか?掲載されている商品も面白いが、何より関心があるのは特集記事▼ペシャワール会代表の中村哲さんが最近の日本について、巻頭言に寄稿している。勝手に引用させてもらう。▼戦争の実態を知らない指導者たちが、勇ましく吠え、心ないものが排外的な憎悪を煽る。「経済成長」が信仰まで高められ、そのためなら何でもする。武器を売り、原発を復活し、いつでも戦ができるよう準備するのだという。それが愛国的で積極的な平和だとすれば、これを「羊頭狗肉」という。アフガニスタンへの軍事介入そのものが、欧米諸国による「集団的自衛権」の行使そのものであり、惨憺たる結果をわれわれはみてきた。危機が身近に、祖国が遠くなってきた。実のない世界である▼明快な指摘に感動。読者諸兄姉の感想如何に。(羽)
註・ペシャワール会は1983年9月中村医師のパキスタンでの医療活動を支援する目的で結成された国際NGO(NPO)団体。アフガニスタンの灌漑用の井戸13本、飲料用の井戸1600本掘削。「緑の大地計画」を進めている。

茶飲み話[12]

 読書が好きだ。特に電車の中で読むのが唯一の楽しみ▼昨年読んだ本が40冊余り▼そのなかでベストスリーを選ぶと、「沈黙の人」小池真理子著書、「望郷」森瑤子著書、「自分の中で考える」外山滋比古著書だ▼本の内容までは触れないが「沈黙の人」は小池真理子さんの自父をモデルにしたもの▼「望郷」は今NHKの朝ドラ「マッサン」のニッカウヰスキー創業者、竹鶴正孝とその妻リタの生涯の物語だ▼英文学者外山滋比古さんの本はこの他にも「思考の整理学」など愛読している。91歳になられるが、今もお元気でいろいろな散歩を楽しんでいる。例えば頭の散歩と称して朝、目が覚めてもすぐに起きないで寝床の中で30分くらい何か楽しいこと、面白いことはないか――あれこれ空想して「頭を散歩させる」そうだ▼若い人たちの活字離れが進んでいるが、本を読んでいると夢心地の気分にもなり、読み終えた時は読み始めた時と少し違う場所に立った気持ちになる。(那)

茶飲み話[11]

 すべて水に流す─ケンカを収める庶民の知恵であり、日本人の寛容さのひとつである▼今、マスコミでは1964年の東京オリンピック開催や新幹線開業から“50年”でにぎわっている。だがもうひとつの50年もある▼1964年12月7日、アメリカ合衆国空軍大将のカーチス・ルメイ氏に日本政府が勲一等旭日大綬章を贈った日だ。日本の航空自衛隊の育成に功績があったからという。航空自衛隊入間基地で浦茂航空幕僚長から本人に手渡された▼ルメイ氏は、太平洋戦争末期、東京大空襲など日本焦土化作戦や広島・長崎への原爆投下を指揮した人物。ベトナム戦争では「石器時代に戻してやる」と豪語し、北爆を推進したことでも知られる▼多くの市民を無差別に殺戮することは、人道に反する罪であり、国際法違反である▼国民の批判に対し、当時の佐藤栄作首相は「過去は過去。功績に報いる」と叙勲の理由を語り、小泉純也防衛庁長官も「功績と戦争当時の事情は別」と水に流してしまった。本来、勲一等旭日大綬章や文化勲章の“親授”は、天皇が直接手渡すのが通例だ。昭和天皇にどのような思いがあったのか、知る由もない▼来年で戦後70年。今なお多くの方が原爆症や戦争の惨禍が残した傷に苦しめられている。水に流してはいけない歴史だ。(道)

茶飲み話[10]

 原爆体験を描いた漫画「はだしのゲン」の作者中沢敬治さんは、小学1年のとき広島で被爆した▼小学校のコンクリート塀のそばで奇跡的に助かったが、お姉さんは倒壊した自宅で即死、お父さんと弟さんも倒壊した自宅の下敷きになり、お父さんは「この柱をどかしてくれ」と助けを求め、弟さんは「熱いよ、助けて!」と叫びながら周囲から迫った炎の中で二人とも焼死したと云う▼なんと悲惨なことか▼その惨さが目に浮かび怒りがこみ上げてくる▼これは郵政退協(現・JP労組退職者の会)の広島平和集会で語った中沢さんの原爆体験である▼中沢さんは73歳で亡くなられたが、その後3ヶ月ほどして書店から「はだしのゲン」全10巻が届いた▼これを見た小学生の孫に「それ学校で見ているよ」と云われ何となくほっとした▼松江市教委が小中学校に「はだしのゲン」を生徒に貸さないよう要請し問題になっていた時期である▼松江市教委はその後これを撤回したが、子供たちにはこの漫画を読み継ぎ戦争の悲惨さを知ってほしい。(阿部)

茶飲み話[9]

 自民・維新・生活の党など超党派の議員連盟による「統合型リゾート(IR)推進法案」が、今臨時国会の焦点の一つになっている▼一般にはわかりにくい糖衣錠にしているが、実態は「カジノ賭博合法化法案」であり、臨時国会では骨格だけを成立させ、詳細な制度設計は政府に任せ、1年以内に法整備を図るという▼安倍総理はこれを「経済対策の目玉」と位置付け喧伝している。しかし厚労省研究班の推計によれば、パチンコなどを含めたギャンブル依存症の疑いのある人は全国で536万人にも上り、成人男性では8・7%を占めている。▼カジノ解禁となれば、さらに依存症に陥る人が増え、多重債務や家庭崩壊、資金欲しさに犯罪に走ったりするケースも増えるだろう。闇支配が横行することも懸念されるし、青少年の健全育成にも悪影響を及ぼす▼何とも「筋の悪い経済対策」である。比較的時間を持て余し気味の高齢者が乏しい年金を巻き上げられ、地獄の苦しみに落ち込むようなカジノ解禁など絶対に許してはなるまい。

茶飲み話[8]

 一部の産業・業種では人手不足が深刻で、操業に支障をきたしているという▼ここ十数年来、雇用・労働法制を改悪し、将来に繋がらない雇用形態が多くなってしまったことのツケが回ってきたというべきか。このままでは、少子化にかかわらず安定した仕事に就けない若者はまだまだ増え続けるだろう▼雇用が安定しない、賃金が上がらない、だから先の見通しが立たない。そんなこんなで結婚したくてもできない若者、子供を産みたくても産めないご夫婦、終の棲家さえ確保できない低所得単身高齢者が増え続けている。わが国は世界一の長寿国だなどと威張ってみても、親の長寿さえ素直に喜べない、そんな悲しい国になりつつある▼働き続けて一つの社会的役割を果たした高齢者の生きる姿、それは人間としての尊厳の問題である。国がなすべきことは、ズタズタにしてしまった雇用秩序を回復し、誰もが生き生きと安心して老年期を迎えることのできる国づくりなのだが・・。

茶飲み話[7]

 2014年8月20日(水)未明、広島県の北部に平年の8月1カ月分の降雨量を上回る217.5ミリを超える雨が、僅か3時間で降ったという▼最初の救助要請は午前3時21分。広島市安佐南区で「男の子2人が生き埋めになった」との通報だった。その後も要請が相次いだ▼要請は安佐南区と安佐北区を中心に48カ所にのぼり、救助を求めた人は計71人にのぼった。死者39人、不明7人と、新聞が報じている▼亡くなられた方々と被害に遭われた皆さんに心よりお悔やみとお見舞いを申し上げたい。合掌▼2011年3月11日の「東日本大震災」から僅か3年5カ月でこの大災害。福島第一原発の事故現場では、安倍総理が世界に公約した、高度に汚染された水のブロックが未だ終わっていない▼そればかりか、地下水を遮断する凍土壁の工事は、3200億円の税金を投入して行われているが、完成のめどが立っていない▼この国では、「天災は忘れなくともやってくる」今日この頃である▼各位、ご自愛を。

茶飲み話[6]

 1998年「私たちは微力だが無力ではない」と核兵器の廃絶を訴え長崎の高校生平和大使が誕生した▼この年インドとパキスタンが核実験を強行したことに危機感を募らせた平和団体が、未来を担う「高校生平和大使」を設立し国連へ派遣することにした▼爾来、高校生平和大使は毎年国連を訪問し、1万人の署名を提出のうえ核兵器廃絶と世界平和を訴えている。帰国後は各地で報告集会も開催している▼私が高校生平和大使と出合ったのは、7・8年前の郵政退協(現JP労組退職者の会)の長崎平和集会である▼女子高校生達の報告を聞き、郵政退協のかつての闘士も私も大いに感動し皆でカンパを行ったが、その後私は毎年ささやかなカンパを送っている。こうした支援活動は全国に広まり北海道退連は全組織的に取りくんでいる▼先般、長崎県退連の集会でこの話をしたところ女性会員から拍手を頂いた。この拍手はそのまま郵政退協と北海道退連の皆さんに届けたい。(阿部)

茶飲み話[5]

 沖縄県西表島で多くみられるマングローブは、オヒルギ・メヒルギ・ヤエヤマヒルギなどと呼ばれるヒルギ科の植物の総称だが、主に亜熱帯地方に自生する常緑樹で防風、防潮、水質浄化の役割を果たしている▼森林の少ない沖縄本島では労働組合が主体となり、本土復帰20年を記念する「ヒルギの里づくり」運動として、那覇市と豊見城市に接する漫湖に6000本のオヒルギとメヒルギを植栽した▼これには私も参加したが、地元では労働組合員のほか市民や小中学生など約1100名が参加した▼東南アジアではエビ養殖のためマングローブ林を伐採し批判されていた時だけに、マスコミも大きく取り上げ県民も高く評価していた▼数年前の沖縄県高退連の総会出席後に、黒島会長と上原林退会支部長に植栽地を案内してもらったが、私の背丈ほどに成長していた。

(ふれあい情報NO150号)

茶飲み話[4]

 日本語は、文字にすれば違いがはっきりするが、聞いただけでは全く異なる意味になる言葉が多い▼ある人がレストランで注文したステーキが冷たかったので、ボーイを呼んで「これ冷たい」と言ったら,分かりましたと料理を下げて、間もなく発砲スチールの容器に料理を「詰めて」お待たせしましたと持ってきたとのこと▼近頃、総会あいさつで、退職者にとって大切なキーワードを2つ。それは「教養」と「教育」です▼教養とは「今日用」がある。教育とは「今日行く」ところがあると読替える▼仕事から解放されて、家に引きこもってばかりいると、肉体的にも精神的にもおかしくなる▼「今日用」と「今日行く」に留意してがんばろうと結んでいる。

(ふれあい情報NO149号)

茶飲み話[3]

 ヒト科・人類が、霊長類の頂点の座を、他のサル目(霊長類)に明け渡す日も近いのかもしれない。もとより文化・文明に限っていうなら、まだまだチンパンジーやオラウータンの追随を許してはいない▼がしかし、近年の世相をみれば、ヒトとしての知性に欠け、弱い者へのいたわりの心をもたず、物事の判断基準の中心には常に自分しかない「ヒトらしからぬ人」がやたらに多くなったようだ▼倫理観なき経済活動に日本人の心が麻痺させられたのだと説く者もあれば、権利だけを強調しすぎた戦後教育のせいだと力説する向きもある▼いずれにしても、似て非なるものを「もどき」という。ならば、姿かたちは完ぺきに人であっても、ヒトとしての知性や心を持たないそれらは、さしづめ「ヒトもどき」とでもいうべきだろう▼もしも日本人がいま、そんな新種のサル目への分化の途を辿っているのなら、由々しき事態である。

(ふれあい情報NO147号)

茶飲み話[2]

 最近「アメリカに潰された政治家たち」という本を読んだ。著者は、元イラン大使や外務省国際情報局長等を歴任された孫崎享氏だ▼とにかく面白い。ぜひ一読をお勧めしたい。▼60年安保のときの岸信介首相に対する評価などで認識を一変させられるくらいであった。終戦直後、日本の軍国主義への反省から親米路線を求めたことは理解できる。しかし、気が付いたらいつの間にかアメリカ従属路線が日本の政・官・財を支配していた▼アメリカは日本を守らない。アメリカの利害に関する「虎の尾」を踏んだ政治家は必ず何らかの形で政治生命を断たれるそうで、鳩山一郎、岸信介、石橋湛山、佐藤栄作、田中角栄、鳩山由紀夫、小沢一郎等▼一方、対米従属派で長期政権となったのが吉田茂、池田勇人、中曽根康弘、小泉純一郎だ▼「親米自主路線派」の政治家が欲しいが、当分無理だろうか。

(ふれあい情報NO146号)

茶飲み話[1]

 話は24年前の1988年5月、私はストックホルムで開催された国際建設林業労組連盟の環境会議に出席した▼この会議でスウェーデンの環境・エネルギー大臣B・ダール女史が「わが国は2000年までに原発を全廃する」と挨拶。チェルノブイリ原発事故2年後のことでもあり私は何となく納得して帰国▼その5年後の1993年、連合が「財・社経国」の依頼で国際エネルギー事情調査団を欧州に派遣することになり固辞していた私も参加。ベルギーで欧州の原発事情を聞いたが、スウェーデンは原発容認に変わったとのこと▼福島原発事故でドイツなどが原発ゼロに転換、日本もゼロにするには原発に代わるエネルギー(再生エネ)の推進が不可欠となる。

(ふれあい情報NO145号)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINE
Copyright © 日本退職者連合(退職者連合) All Rights Reserved.