高齢者にとって、葬儀は身近なテーマのひとつです。長年にわたり葬儀の実態と消費者の葬儀に対する意識調査を行ってきている日本消費者協会は、「自分らしい逝き方と後悔しない送り方」をテーマに1月26日(木)13:30から都内の主婦会館(四谷プラザエフ)でシンポジウムを開きました。 
 消費者や葬儀業界、お寺関係者など160人(退職者連合からは5人)が参加したシンポでは、葬儀形式や葬儀の依頼先、葬儀にかかわる費用、お布施、葬儀で困ったことなどを検証しつつ、変わりつつある消費者の葬儀観を検証しました。

臼井副会長

臼井副会長

 シンポにはパネリストとして葬儀事業者の立場から全日本葬祭業協同組合連合会の専務理事・松本勇輝氏、宗教関連の立場から公益財団法人全日本仏教会の理事・戸松義晴氏、消費者の立場から退職者連合の臼井百合子副会長の3人が登壇し、それぞれ発言しました。
 なお、シンポにあわせて日本消費者協会が事前に行なった「第11回葬儀のアンケート」調査は、全国で1,875人の有効回答があり、退職者連合関係では130人から回答があったと報告がありました。

会場を埋めた参加者。葬儀への関心の高さを示した。

会場を埋めた参加者。葬儀への関心の高さを示した。

変わりつつある消費者の葬儀観

日本消費者協会では、葬儀の実態と消費者の意識についてのアンケート調査を1983年から続けており、今回第11回のアンケート結果について以下のようにコメントしていますので、ご紹介します。

I.調査の概要

  1. 調査の目的
    葬儀を身近な問題とする消費者の意識が高まっており、実際に行われている葬儀・埋葬の現状を通して、消費者がこれからの葬送をどのように考えているかを探るため。
  2. 調査方法
    郵送留め置き方式
  3. 期間
    2016年7月~9月
  4. 主な項目
    ①葬儀の形式、場所、依頼先
    ②葬儀費用、費用の決め方、実際にかかった費用
    ③葬儀の内容、サービス
    ④葬儀後のアフターサービス等についての意見・要望
    ⑤望ましい葬儀
    ⑥新しい葬儀のかたちに対する意識
    ⑦今後の葬儀のあり方
    ⑧地域の伝統や改善点
  5. 回収結果
    標本数 4,038人
    有効回答者数 1,875人
    回収率 46.4%

II.まとめ

 2015年10月1日時点での日本の総人口は、1億2,711万人。65歳以上の高齢者人口は3,392万人で、総人口に占める割合(高齢化率)は、26.7%です。超高齢社会が本格化して早くも10年を迎えます。
 平均寿命は2014年現在、男性80.5歳、女性86.8歳。食生活の改善や医療技術の進歩などで「日本人の平均寿命は今後も延びる可能性がある」とされています。
 高齢者が健康維持に努め、いつまでも元気に過ごしたいと望んではいても、最後には誰かの世話にならざるを得ません。その時のために、ライフエンディングステージに関する情報を事前に得て、後の始末を頼む方にきちんと伝えておきたいと考える「終活(人生の終わりをより良いものにするため、事前に準備を行うこと)」が消費者の中に広がってきています。なかでも、自分自身の葬儀や埋葬に関する関心は非常に高くなりました。少し前までは、家族間で葬儀や埋葬、その前の終末期の医療について話題にすることはためらわれ、忌み嫌う傾向がありました。しかし最近は、これからの生き方を考えるためのライフイベントのひとつとして、葬儀や埋葬を視野に入れてプラン作りをすることが当たり前になってきたと言えます。
 その情報を得る手段として、インターネットや新聞、マスコミの報道、葬儀事業者の開催するイベント、消費者講座さらには口コミなどツールも増えました。情報源が多くなり、消費者の選択の幅は広がりましたが、いざ家族や自分のためとなると、決めかねるという方もまだ多いのではないでしょうか。
 葬送は、経済や社会の情勢がどのように変わろうとも、人としての尊厳をもって故人を悼み、感謝の気持ちを込めて送り、送られることの大切な心遣いを忘れてはならないと考えます。だからこそ、少子化で家族が小さくなればなるほど、人とのつながりを大切にした社会が見直され、伝統やしきたりにのっとった葬儀や埋葬を効率化や機能的にと一概に片付けてしまってよいのか、もう一度考えてみる時期が来ているようにも思えます。

2017年1月
一般社団法人日本消費者協会