「多面的機能支払事業交付金」活用して地域づくりめざす

(今回のお達者さん)
山形県農水省退職者の会
槙 正義さん

 
 山形県河北町に住む槙政義さん(写真)は、現職時代の農水省で働き・学んだ経験を生かして、子供の自然体験「生きもの調査」や農村の美化など多様に活用できる「多面的機能支払事業交付金」を使って、地域おこしの活動に取り組んでいます。「収穫した野菜を妻と二人で“元気の素”とし頂いています」と語る槙さんは、2011年に町議会議員になり現在2期目。

 

Q.町議会議員として地域の活性化に取り組まれているとのことですが。

町議会で質問にたつ槙さん。議員としての現在2期目の活動に励む。

どこでも同じだと思いますが、わが町の山形県河北町も子どもの頃とは大きく変わりました。人口減少や高齢化に伴う集落機能の低下で地域に様々な問題が起きています。
2011年に河北町議会議員になり現在2期目です。かつて農水省の職場でお世話になった身でもあり、その経験を生かした活動を進めてきました。具体的には、農水省が所管する「多面的機能支払交付金事業」の拡大に取り組んでいます。

 

Q.その交付金事業の特徴は?
農業や農村は、国土を保全し、水をつくり出し、自然環境を保全するなど多面的機能をもっています。こうした多面的機能を維持するため、以前から農道や水路の補修等に対する交付金がありました。
現在の交付金は「生きもの調査」など子供たちの自然体験を通じての事業をはじめ、6次産業化や農村の美化など多様に使える素晴らしい交付金となっています。

「生き物調査」をする子どもたち。自然体験などにも交付金が活かされている。(農水省ホームページより)

Q.課題もあるのですか。
地区ごとの事業担当者の会計処理に関して結構聞かれますね。また、交付事業自体についてのさらなる普及活動が重要です。農家と非農家の皆さんが一緒になっての取組みとすることも忘れてはなりません。
Q.そのほか農水省との関わりはありますか。
町として1億円の支援を行い、今年2月にJA産地直送センターがオープンしました。農家の所得向上と町の賑わいに期待しています。オープンに向け「産直」が成功するように筑波の農研機構(農工研)の支援を受けて先進地の視察などを行いました。
その際、私が全農林役員時代にお付き合いをした筑波の皆さまに大変お世話になったんです。現在も本町の農業振興との関わりで農工研との連携が続いています。
Q.山形県といえばサクランボが有名です。また、ご自身も農業で汗を流しておられるとのこと
本町の平成28年の農業産出額推計値52.8億円のうち、さくらんぼなど果実が29億円あり、米の2.2倍となっています。私自身は30aの畑に枝豆、さくらんぼ、季節の野菜を作付けしています。昨年から黒ニンニクを作りJAの産直に出荷していますが、安いせいか飛ぶように売れます。また、収穫した野菜を妻と二人「元気の素」とし頂いています。
Q.現役時代の思い出など
昭和38年に山形食糧事務所に入所しました。当時は主食米が足りない時代で、秋に農家から集荷した米をいち早く臨時貨物列車(臨貨)に仕立て、関東圏に発送する仕事を担っていました。今では考えられないことです。
Q.退職者の会への期待など
農水省退職者の会は、現役の時の労使の枠を超えて「オール農水省」退職者の会として発足したことが素晴らしいです。ただ近年は会員の減少と高齢化、健康上の理由から活動に参加できない会員も増えてきました。工夫しながら、組織が継続できるよう願っています。この農水OBだよりは、会と会員との貴重な「つながり」です。会員からは身近な会員の動向等の記事への期待を聞きます。
Q.健康維持で気を遣っていることはありますか?
胃ガンの手術から10数年経過しそちらの心配はありませんが、血圧が少し高めで薬を服用しております。また、天候と相談しながら、ほぼ毎日30分程度の散歩を続けています。

(報告)
農水退
事務局長 花村 靖
<農水OBだより第476号(2018.7.15)「第7回お達者だより」より転載>